taming by feeding
「ほ〜ら、こわくないよ」

「こわいっつの!!」

すずらん商店街にある八百屋 安藤青果店は、突如現れた黒いサンタにより甘い香りに包まれた。

甘い香りを連れてきた張本人は、全身で怪しい感じを表現している謎エリート魔導師お兄さん(?)、レムレス。

そしてその怪しいお兄さんにすかさずつっこみを入れたのが、その八百屋の娘 あんどうりんごである。


横から びえぇぇぇ と不細工に泣く赤子の声。
どうやらレムレスが怖いらしい。

「ほらぁ もう、怪しいからお客さんのベィビーが泣いちゃったじゃないですか!!」

こういう風に急いでるときながらも、さり気なくボケをかますのが、なんだか頭がいい感じに思える。
つい最近したテストでも、なんと学年で4位だったらしい。
しかし彼女は負けず嫌いで、4位という結果がふに落ちないといっている。

と、そんな話はおいといて。

「ごめんねーボク、キャンディいるー?」

レムレスは、泣いている赤子にカラフルな色をしたキャンディーを見せた。
キャンディーを見せたレムレスの少し悔しそうな表情を見ると、どうやら結構高価なものらしい。

赤子はキャンディーをじっと見つめ

「あぶ」

・・・・・?と言い放ち、レムレスのもってるキャンディーを無理やり地面に落とした。


「・・・・・・・・・・・・・あーあ・・・」

りんごはどう声をかけていいのか分からず、思わずため息混じりの声が出た。
そしたらレムレスは

「気に入らなかったかな??じゃぁこっちのチョコマシュマロはどうかナッ♪」
「ええええええええええええええ!!!?」

りんごが気を使ったにも関わらず、次はこれはどうかとお菓子を薦めるレムレス。
はっきり言うとりんごは呆れている。さすが若者。呆れやすい。
はぁ、と今度はしっかりため息をついて

「ね、何でそんなに自分の好きなお菓子を薦めるの?
自分の好きなものでしょう??それで好感度でもあげるつもりデスカ??」

「え・・・・・・・」

レムレスは驚いた様な声だった。眼も少し開いていた。
まずい、やばいことを聞いたか。
りんごは少し冷や汗をかいて、顔でそう物語っている。

「・・・・・・・わ」

ひとつ、レムレスはことばを漏らす。
金属のような高い音(おん)だった。

「・・・・・・・よく、わかんないんだけど。
僕はこれしか能が無い・・・・能無しのようなものだからね。

こんな小さなことがみんなの幸せにつながりますように

                                   って」

「・・・・・・・・・・・・・・・へ、へえ・・・・・・」

口を開いたレムレスから聞けた言葉は、意外な言葉だった。
しっかり 理由があったんだ って。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぼくの、僕の罪滅ぼしでもあるんだけど」
「へ?」
「いいや、なんでもないよ」

ぼそりといった言葉はりんごには聞こえなかった。
しかし

「あぶー」

そこにいた小さな赤ちゃんが、レムレスの持っていたチョコマシュマロを 一口でぱくりと食べた。

「・・・・・あ、たべたぁ!!」

りんごが驚いたように言ったので、レムレスはびくっときて 眼を思いっきりあけたが、そこは、そしてぼそりといったあのことばは赤ちゃんしか知らない。

「・・・・・・・・・・・・・ふふ」

ちいさなこには かなわない







もう夕方。八百屋の客ももういない。
赤ちゃんは、お母さんに連れられ帰っていった。

「あ、じゃあ僕もそろそろ帰ろうかな」

さっと箒を跨ぎだしたレムレス。

「あ、まって!!」

店じまい前で 八百屋のものらしきエプロンを制服の上に着たりんごが 突如レムレスのほうに向かってきた。

「今日はありがと。んでついでにコレ!」

りんごの腕の中には、りんごの店の物であろうたくさんの野菜、そして果物が入っていた。

「たまにはお菓子以外のものも食べないと!糖尿病になったり、栄養とかも損なわれるし・・・・」

たらたらと食べ物のことに関して話しだした。
こういうところを見ると、自分の家や家族が好きなんだな と思う。
(自分とは違って と少し思うとなぜだかりんごちゃんに感動しちゃうな)

レムレスは心の中にそう思い、重たそうに持っていたりんごの腕の中の野菜や果物を、ほいと服の裾ををつかみその中に入れてもらった。

「分かったよ、心配してくれてありがとう。・・・・・・・さて、このいちごはチョコをつけて食べようかな。」
「んもう!全然分かってないですっ!!」

そしてまたたらたらと長く話しだしたので、もういいよと軽く止めた。

「で、でも僕別に手伝ったりしてないよね?
野菜とか果物とか・・・・ただでもらっちゃっていいの??」

りんごは少し間をおいて、

「はい!!」

と笑顔で返事をした。

「だって私、少し感動したんで。
おにいさんがそういう風に考えてお菓子を配ってるとは思っても無かったんで ・・・・・・・・・だから」

少し照れて言う。りんごは優しい子だ。

(・・・やれやれ、こんな気持ちにしてもらったのは久々だよ

今の子に、こういう子が いる   かな?)

プリンプの子供達は、皆優しくてもどことなく残酷である。
アミティやシグなんかはまさにそのタイプ。
ラフィーナは高飛車だし、クルークやフェーリは人を困らせてばかり。
リデルは稀に毒舌だし、タルタルは・・・・・・
そう考えてくると、なんだかんだ言ってもプリンプのほうがいい、と思えてきた。

「・・・・・・・さて
ぼくもおうちにかえろかな と。
・・・・・あー、帽子の中に入れようと思ったけど お菓子が入ってて入れられないや」
「え、じゃあちょっと待ってて袋持ってくるから・・・・・」

りんごは、急いで家の中から取ってこようとしたが、レムレスから肩をつかまれた。
夕焼けと同じような色をしたレムレスの眼が、りんごに向けられた。

そしてわざとらしく

「だれか おかしをもらってくれないかな」

と言った。ふ、とりんごは鼻でため息をついて、

「しょーがないな、もらってあげる!!」

それは 元気な声だった。




















あとがき

タイトルの訳は「餌付け」。

全然タイトルとかんけえねえな!!

どうやら私はレム&りんごのコンビがさり気なく好きです。CPじゃなくてね。

後輩にりんごちゃんが欲しい、みたいな。

んでりんごも「へんなおにいさん」とかいいながら気に入ってたりとか。

でも一番のせんぱいはりすせんぱいね。

プリンプで一番がレムレスみたいな^p^
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