▽過去の詩集 第1期:名前の無い詩1-20
▽第1期:名前の無い詩 1亡き日々に
思いはせ
亡き人々に
心 飛び
泣けど叫べど返るは木霊
時も生も返らず帰らず
全てにあるは
限りのみ
2006/8/14(月) 18:59
▽第1期:名前の無い詩 2
夢の終り 現の始め
行きて返る 鏡のように
されど断ち切れぬは
鎖と同じ
逃げることはかなわない
環の中と同じ
永久の手に握られたまま。
2006/8/14(月) 19:02
▽第1期:名前の無い詩 3
歩け、歩けど
進まぬ道に
くらき、くらき
闇が降りる
かえるべき道は閉ざされ
開カズ
いくべき道は開かれ
閉ジズ
2006/8/14(月) 19:05
▽第1期:名前の無い詩 4
悲しみに花を添えましょう。
全てを記憶から葬るために。
嘆きの花瓶を割りましょう。
全ての思いを断ち切るために。
追憶を重ね、過去を加え
全てに火を放ちましょう
消すことが叶わないなら。
2006/8/22(火) 14:40
▽第1期:名前の無い詩 5
夕を行く獣になろう。
地を走る風とともに時を過ぎるから。
朝を行く鳥になろう。
空をうごめく雲とともに時を忘れるから。
忘却のはるかかなたへ。現はいつしか夢となり。
割れた鏡に映るだろう。
2006/8/28(月) 17:04
▽第1期:名前の無い詩 6
しろき手が肩をつかみ
イザナイ
くろき手がわたしの手をとり
イザナイ
両の手が
イザナウ
幼子がワライ
死者がウラミ
テマネキ、テマネキ
わたしを誘う
2006/8/28(月) 17:09
▽第1期:名前の無い詩 7
波の狭間にたゆやう月よ
くらきに染められし海よ
すべてありてなきものの所へゆけ。
闇はただひたすら隠し
水はただひたすら沈む
そして空は見つめるだけ。
2006/9/2(土) 14:19
▽第1期:名前の無い詩 8
虚ろの移ろわぬもの
そぞろゆくものは消え
くさはらの火は業火となる。
森よ告げよ遠き泉に
泉よ絶てよ近き森に
全てはまだ見ぬものへ変わり果て
虚ろ移ろい
そぞろゆく
2006/9/2(土) 14:25
▽第1期:名前の無い詩 9
流れ、流れ
空薬莢にも似た音で
命は落ちてゆく
止まれ、止まれ
まるで雨漏りのような
血の流れ
力無き者に残されたのは
死のみ?
2006/9/7(木) 17:41
▽第1期:名前の無い詩 10
眠りの世界へ行きなさい
せめて寝顔は安らかに。
現は苦痛を伴うから
せめて死顔だけは安らかに。
時はもうその扉を閉めて
思い、心、想像すべて
暖かみと共に消える。
2006/9/7(木) 17:44
▽第1期:名前の無い詩 11
闇をこの手で紡ぎましょう。
紡ぐその手はクロトの手
闇をこの目で測りましょう。
測るその目はラケシスの目
闇をこの手で切りましょう。
切るその手はアトポロスの手
闇からの糸は光。光は闇の使者。
2006/9/11(月) 19:06
▽第1期:名前の無い詩 12
夜の宴を開きましょう
あなたと私と、二人きり。
星のあいまに踊りましょう
楽しくて壊れた曲と共に。
空が日を向かえる前に
高らかに歌い終えましょう。
静寂は陽の現われと有る。
2006/9/11(月) 19:11
▽第1期:名前の無い詩 13
鳥の翔る園へ
楽園は遠くて悲しい
地獄も花の園のような
現はつらき所
でも楽園は無いかもしれないから
死者の世界は虚無だから。
ただ希望を願うのみ。
2006/9/14(木) 17:54
▽第1期:名前の無い詩 14
葬送曲は夜に鳴く
弔う、弔う、鳥の調べ
白き羽は今や黒
つがいの片割れは調べを歌う
鳴き止まぬ怨みの曲
消えないのは
死の記憶
2006/9/14(木) 21:18
▽第1期:名前の無い詩 15
湖面はその季節の花を喰う
群れる虫はいつか落ち
湖面はその青い葉を喰う
太陽の光はじりじりと焼く
湖面はその枯れ枝を喰う
じきに訪れる白い原
湖面はまた花を喰うまで
息を潜めてただ浮かぶ
2006/9/14(木) 21:22
▽第1期:名前の無い詩 16
心を呟けば
答えは嘲笑
偽りを言えば
答えは怒り
ならば何を言えばよいのでしょう?
私は何も言えないのでしょう?
言葉を与えたものを
私は、怨む。
2006/9/19(火) 18:26
▽第1期:名前の無い詩 17
沼へ誘われ片足を
沈む、沈む
母の忠告を子は思い出す
もう遅い
わらにすがる思いも
つかんだのは泥
同胞の待つ底へ
沈む、沈む。
2006/9/19(火) 18:29
▽第1期:名前の無い詩 18
月が浮かべた笑みは
道化の笑い
墓石は動き
白い細い手は土を抜け出す
コウモリは翼を広げ
人と似た姿に
子は家々を回りながら
闇に声高く告げる
Trick or treat!!
2006/9/19(火) 18:32
▽第1期:名前の無い詩 19
時計の針はただ進む
義務も使命も無い
かたり、かたりと
ただそのまま
ヒフについた爪痕は
血のにじみを残して
消える
2006/9/19(火) 18:35
▽第1期:名前の無い詩 20
まどろむ太陽は
赤き光
影を伸ばして
黒い橋
日はいつか絶え
私を隠す
けれど月は再び照らす。
2006/9/19(火) 18:41
2011/12/8(木) 01:16