▽過去の詩集 第1期:名前の無い詩101-120
▽第1期:名前の無い詩 101
惑う月明かりの筋道
贖う日明かりの道中
右の手には戒め 疎遠の荒縄
左の手には賤しめ 至近の絹糸

水に浸す
奇異の頭

2007/10/14(日) 16:54


▽第1期:名前の無い詩 102
天翔る翼
傷は血の口
空架ける
綴られた死

鳥は何時飛ぶことを止めるだろう

風は何時凪ぐことを思い出すだろう

地擦れる
熱は消える
数刷りて
久遠の忘却

人は何時考えるのを止めるだろう

空は何時泣くことに気付くだろう


2007/10/14(日) 16:54


▽第1期:名前の無い詩 103
純血の証

さぁ、捧ぐのは子羊の目
足らぬなら己を差し出せ


混血の印

さぁ、犠牲なるは子羊の腸
逃げるならば煉獄へ

2007/10/14(日) 16:55


▽第1期:名前の無い詩 104
削がれた安らぎ
焦がれた揺らぎ

留まる事を赦さぬ嘆き

逃れゆく偽装
消えゆく本懐

漫ろう事を許さぬ所以

2007/10/14(日) 16:55


▽第1期:名前の無い詩 105
日蝕と月蝕の同化
蒼日の輪で
車軸は左の腕

上弦と下弦の混在
赤月の輪で
車軸は右の刃

二度の果て 箱舟の定義
彼の者を引き上げる縄は
死人の骨

2007/11/11(日) 16:41


▽第1期:名前の無い詩 106
偽り偶像
嵩む罪祈り
尚求む贄

欠けの水晶
積もる塵硝子
只ひび割れる

2007/11/11(日) 16:41


▽第1期:名前の無い詩 107
針刺しは生けし指
絹糸は死せる髪

天衣無縫ならば
死神の衣は線の群
差違は如何程

指貫は生けし皮
待ち針は死せる爪

結わえて始め
縢りて仕上げ

2007/11/11(日) 16:42


▽第1期:名前の無い詩 108
眼に牙立てる
割れた鏡の破片

黒天使の横顔

足に結びつける
解れた縄の一筋

安らかな寝顔とあれ

2007/11/11(日) 16:42


▽第1期:名前の無い詩 109
目盛りをキザム
刻々とキザム

夢で数えて一つ、二つ
現で無くして一つ、二つ
狭間で拾って一つ、二つ

傷をキザム
目安にキザム
淡々とキザム
2007/11/27(火) 12:04


▽第1期:名前の無い詩 110
さぁ煩雑で交雑な名を告げよう

まやかし魔が魔が

夜な夜に謳う

郭に轡の狂い

鈴に煤の術からも

つみ詰める葛篭にも

其の姿は影も無く
2007/11/27(火) 12:04


▽第1期:名前の無い詩 111
首括りのヒモ 今宵の語り部
灰かぶりの 夢幻の夜
片目喰らう鳩の羽音

斬首のオノ 今宵の語り手
茨姫の 百の時
後ずさる夢の痕跡

月 幽けし傍観者

2007/11/27(火) 12:05


▽第1期:名前の無い詩 112
風が囁く
耳元で告げつ運び
漣が翳す
足元で探しつ運び

黄昏の色 暗闇の色
眼球の色 休息の色

悪夢はどれ?

2007/11/27(火) 12:05


▽第1期:名前の無い詩 113
くる来る転狂
青い肌も
霧切り斬り桐
しらべ奏でて
凪薙亡き泣き
響き続ける

私は踊るわ
首の短剣と永久と共に

2007/11/27(火) 12:06


▽第1期:名前の無い詩 114
傷口抉る指先は
死に想い馳せ
生に思い果て
享受するはただ追憶と

瘡蓋剥がす爪先は
死に思い果て
生に想い馳せ
反駁するはそう祈願だと


2007/11/27(火) 12:06


▽第1期:名前の無い詩 115
悶える罠 捉えられし百獣も
神狩る鎌 束縛されし静謐も

討っ手 射る矢は
霧混ぜて
天をも的とす

蔑む口 捧げた祈りも
叫ぶ空 崩れた全てを

喰い尽くすもまた贖い
2007/12/6(木) 18:08


▽第1期:名前の無い詩 116
遺失物は左の林に

喪失者は右の岸部に


細道の先は選択肢

枝分かれの前の

茫漠思考

一筋の通った跡の

後悔考察
2007/12/6(木) 18:09


▽第1期:名前の無い詩 117
終わりし夢と終わらぬ夢
差違、または異なる証を示せ
続ける現と続けぬ現
同義、または同じか理由を示せ

童歌の戯れ言 毅然の絵空事
問うは口のみならず

2007/12/6(木) 18:10


▽第1期:名前の無い詩 118
赤いレースで括った篭
躊躇わずに着飾って
浅き眠りに夢も見ず
ただ小さな寝息が頬にかかる

黒いバラで作った服
躊躇いながら纏って
深き奈落に希望も見えず
ただ諦めの吐息が此処を覆う
2007/12/6(木) 18:10


▽第1期:名前の無い詩 119
掠れた模様を書き移そう
消えた其は私だから

削れた形を描き移そう
消えた其は貴方だから

明キ アサボラケ
暗キ タソガレ

例えども、例えども

2007/12/6(木) 18:10


▽第1期:名前の無い詩 120
緩やかに壊れる
空で散る花びらも
夢と幻の境忘れて
ただ飽きず漂う
桜か銀杏か紅葉かは
知るよしもなく

ただ彷徨う
2007/12/6(木) 18:11
2011/12/8(木) 01:24
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