▽過去の詩集 第1期:名前の無い詩261-280
▽第1期:名前の無い詩 261
延々と再生する思考
留まり溜まり朽ち腐る
......水のように堕ちよ

人に平等な赤黒い血が
管を下り転り狂う
......疾風のように駆けよ
2009/2/7(土) 20:54


▽第1期:名前の無い詩 262
春訪れども過ぎ去れば夏
夏訪れども過ぎ去れば秋
秋訪れども過ぎ去れば冬
冬訪れども過ぎ去れば春
輪廻にも似た四季の回廊
各々が巡らす夢は重く
空を染め、地を彩り
風景を縁取る

アノ中デ傍観スルノハ誰…?
2009/2/7(土) 20:54


▽第1期:名前の無い詩 263
何れ祈る手が刃を持つだろう
呪えば呪われ、殺せば殺られる

死者必携恨言:シシャヒッケイウラミゴト
ショウジャヒッスコロスモノ:生者必須殺物

禍呼べと叫ぶ傍ら
果てよと返す側から
抉られた目は何を見る
虚ろな眼窩は何が映る
2009/2/7(土) 20:54


▽第1期:名前の無い詩 264
死者の夢
生者の檻

それらが織り成すのは
愛しき者らの悲しき亡霊

死者の檻
生者の夢

それらが織り成すのは
黒い夜に現る悪夢の欠片

夜毎に詠われる
檻と夢
死者と生者
境にも似た間にも似た
虚実の空間を
2009/2/7(土) 20:55


▽第1期:名前の無い詩 265
もし老いた犬が吠えるなら
罪人はその首を絞めるだろう
もし静かな鳥が見つめるなら
臆病者はその目を抉るだろう
もし嘘吐きな猫がすり寄るなら
生者はその腹を撫でるだろう
2009/2/7(土) 20:55


▽第1期:名前の無い詩 266
幼子が寒いと嘆くなら
暖炉の前へお連れなさい
溶けて地濡らす雪降るる
問いて血零す刃来たる

其れを心と思う内は
まだ貴方は孤頃の中

2009/3/7(土) 12:43


▽第1期:名前の無い詩 267
教えて教えて!
今迄問うたその数を
教えて教えて!
今迄答えたその数を

抉るような童の問い
はぐらかす親の答え

2009/3/7(土) 12:43


▽第1期:名前の無い詩 268
幽けし洋琴
残響成れど届けと願わむ

(誰が過ぎし古に詠われた
忘れ去られた詩を聴く?)

鳴神遮る道程
行く逝く
流水逆らう川の中
行く逝く

尽きし響き 絶えた地で問ふ

(その言葉を伝え終えた
ピアノの琴線は切れ……)

2009/3/7(土) 12:43


▽第1期:名前の無い詩 269
嘶き疾風 駆けて置き去るは
疎外、懲罰、幻想、偽善
ドレカラ…

孤高を装うのか?
何より孤独怖れても
忘却を望むのか?
何より喪失畏れても

遠吠え走馬灯 巡りて狂わすは
自己、貴方、彼方、輩
ドレカラモ…
2009/3/7(土) 12:44


▽第1期:名前の無い詩 270
嘘を重ねて真と成す
虚実を以て世界と成す
口を結わえて黙と化す
権力を畏れて犬と化す
罪を着せて柩に入る
幻想を添えて夢に入る

恋い焦がれて壊れゆく
諦観を携えて漫ろゆく
2009/3/7(土) 12:44


▽第1期:名前の無い詩 271
冬の残滓 芽吹く春凍えさせても
それが性と云うのだろう
四季巡るは 風も時も同じなら
生も死もまた巡るもの

諸行無常 栄えた都も滅ぶとき
孤独と心を迎え入る

2009/4/18(土) 21:16


▽第1期:名前の無い詩 272
孤高成れと言うたのは何時の日ぞ
孤独成れと思うたのは何時の日よ

行く、或いは逝く先を憂えば呟く
死だの生だの、只の戯言
追う、或いは継ぐ後を悔やめば囁く
真だの嘘だの、只の戯言

夢も現も然したる意味無し、理由など
求めた時点で枯れゆく花の如く尽きて――

2009/4/18(土) 21:16


▽第1期:名前の無い詩 273
雪花散れ 六花散れ
“この身の冷たさは何のため”

雪花咲け 六花咲け
問えば答える人が居る

雪花乗れ 六花乗れ
「人と人触れ合えば温かい」

雪花泣け 六花泣け
“それは答えと云えず”

「寒さがなければ温かみなどない」

雪花降れ 六花降れ
存在に意味有るその幸せをかみしめながら

2009/4/18(土) 21:16


▽第1期:名前の無い詩 274

交差する残像
屈折する幻想
虚実交じれば此処に在り
真偽問えば其処に無し
2009/4/18(土) 21:17


▽第1期:名前の無い詩 275
水濁せば指は白く
指濁せど水は黒く

追憶 憶せ 現に 憶せ
進む道はあれど戻らず
進む先はあれど行かず

追想 想え 夢に 想え
後の道はなしと知らず
後の道はなしと気付かず

2009/4/18(土) 21:17


▽第1期:名前の無い詩 276
影を呼ぼう 影を呼ぼう
足元から立ち去りし その影を
影を呼ぼう 影を呼ぼう
主なき者らが踊る 舞踏会から

囁く声は道標 森の奥へと
招かれて

2009/6/8(月) 18:49


▽第1期:名前の無い詩 277
延延輪廻 果てなしなら
此の地、此の身 深く沈めて
来ぬ待ち人の果てとなろう

延延輪廻 錆びた柱は
古に建てられた一つの終り

2009/6/8(月) 18:50


▽第1期:名前の無い詩 278
風の便りを待ちましょう
風見鶏が鳴くのなら
それは便りが来た証

だれへともなくあてどなく
そのてがみはそぞろゆく

風の便りを受けましょう
風切り羽が落ちたなら
それは便りが来ぬ証

だれへともなくあてどなく
そのことばはながれゆく
2009/6/8(月) 18:50


▽第1期:名前の無い詩 279
漣 心をささやかに
揺らして揺らして揺らしてく

東雲 眼をあざやかに
照らして照らして照らしてく

その狭間を滑り落ちて……
帰らない人々は……
いつまでも気付かないでしょう……

監獄 体をしたたかに
絞めて絞めて絞めてゆく


2009/6/8(月) 18:50


▽第1期:名前の無い詩 280
五臓六腑を流るるは
紅 色彩 鮮やか血
この手足腹胸頭すら
紅 色彩 鮮やか血
嬰児育む 白き蜜も
紅 色彩 鮮やか血

不平等ナル人ノ世ニ
等シク散リバメラレタ
生 死 血ノ紅

2009/6/8(月) 18:51
2011/12/8(木) 01:28
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