▽過去の詩集 第2期:名前の無い詩11-20
▽第2期:名前の無い詩 11
くすんでにびいろ
一つの箱が破裂して
方々散り散りよく消えて
夕暮れの彼方へ見えなくなった

くすんでにびいろ
一つの夢が摩耗して
方々じりじりよく消えて
朝焼けの彼方へ見えなくなった

寝不足の頭に浮かんだ無意味
それはシグナルという無意識
寄り添うものは何も無く

2010/5/14(金) 23:28


▽第2期:名前の無い詩 12
赤い閃光が貫いた
一つ串刺しては瞬いて
溶けて崩れて消えて無くなる
訴えてもただ空白に薄延ばし
無意味よ無価値よと賛美され

赤い線香が煙たく
一つ串刺しては煌めいて
焼けて壊れて失って無くなる
諳んじても余白を汚すだけの
下らないと蔑む落書きのみ

2010/5/14(金) 23:28


▽第2期:名前の無い詩 13
彼(彼女)が言うには
その綻びを見つけたときには既に遅く
広がった傷に後戻りという選択肢は
不可能となっていたようだ

彼(彼女)が言うには
その思いつきは逆効果であったため
手をつけずに自然に消え失せるように
放置することにしたようだ
2010/5/14(金) 23:29


▽第2期:名前の無い詩 14
幾重にも絡み合う
創られながらにして崩された造形

折り重なり触れ合う傷を
ショーケースの外の誰かが指差し笑う

醜さには侮蔑、嘲笑
更に歪んで悉く悪循環
狂わせ
狂わせ
角へ身寄せ
生きるとも死ぬとも
言えぬ時間

2010/6/24(木) 23:40


▽第2期:名前の無い詩 15
人とは精神であり、
精神とは世界である。
したがって、人とは世界である。
Q.E.D

そして僕という人間の場合
著しく中央が抜けており
僕という精神の状態という
異常性は他に類を見ず
世界は僕だけだという場合
誰もが幸せになる。

2010/6/24(木) 23:40


▽第2期:名前の無い詩 16
地面に米粒ぽろりと落ちて
それを拾いに雀きた
そこへ車がやってきて
くしゃりと雀を挽き潰す

雀を拾いに烏きて
烏もおんなじことになる
それを拾いに烏きて
烏もおんなじことになる

烏もおんなじことになる

撒かれたお米が悪いのか
食べにきた雀が悪いのか
はたまた車が悪いのか
それとも烏も悪いのか
2010/6/24(木) 23:40


▽第2期:名前の無い詩 17
慟哭、食らいついて
心臓を掴むその声に依り
四方飛び散る感情ども
悲哀の箱に群がり集う

心室、四つどもえの心揺らす

かくしてかの者、かく語る

2010/6/24(木) 23:41


▽第2期:名前の無い詩 18
エゴと自己の差額が
計算できない愚かさ

一体どれほどの価値を他人に見いだし
どれほどの無価値を自分に下すのかは
それぞれ個人に依る理由を吐き出すと

価値という定義自体が人間の物差しだということに
行き当たるのは僕一人だけではないのだと信じよう

2010/6/24(木) 23:41


▽第2期:名前の無い詩 19
げたの音、からんころんと
共に響く音色には
遠く記憶で色あせた
童歌の、歌詞、虫食い

抜けて落ちて、欠落感
慣れぬ古く新しい履き物
足を痛めて、ゆるりと進む
ゆるりと響く

からんころん

2010/6/24(木) 23:41


▽第2期:名前の無い詩 20
盲目的な殺戮感情
網膜的な殺害心情

圧搾、圧死の鬱屈の
力抜けて、出血多量

血涙、涙のグランギニョルが
吐き気を抱えながら首を絞める

2010/6/24(木) 23:41
2011/12/8(木) 01:31
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