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この感情を何と呼べばいいのでしょうか?

ふわりと薫る、雨の匂い
地面が濡れている様な、そんな独特な匂いは、私の嗅覚を刺激していた

しとしとしとしと……その雫は、私の心のよう
静かに、泣くしかないの
誰も私のことは気に留めない
昇降口から降り注ぐ雨が、帰り歩く生徒達の姿が見える

青春。そう、若人の特権とも言われている、今の時期
だけど、世間を斜めに見る私は、どれだけ冷めた心をしているのだろうか?

雨に打たれて、心の中で笑われて、帰ろう

そう思って、昇降口から「世界」へと踏み出す
だけど、
腕に、何かの重みがあった

「やぁ、○○さん! どうしたの? もしかして、傘を忘れたとか?」

そこには、憧れの先輩が、大きな黒い傘を持っていた
泣きそうだった
よりにもよって、不安定になりやすいこの時間帯に、出会ってしまった

「そうですね、そんなところです。先輩は、今帰りなんですね。お疲れ様です」

自然とそう出る言葉
先輩には、どう映っているのだろうか?

わからない、わかりたくない、わかりたい

様々な想いが、矛盾して交差する
そんな私に、どう映ったのか、
---先輩は、笑顔を見せた

「そのまま帰ったら、濡れちゃうね……一緒に、帰ろう? 僕と一緒で、嫌でなければ」

憧れの「笑顔」が、直ぐ傍にある
それを見た時、何故だろう
胸が、ドキッとしたんだ

先輩の傘は大きかった
このまま、雨が全ての視界を遮ってくれるというのなら、

どうか、この一時の幸せを、取り上げないで下さい

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