▼2:出会い
今日と同じ、雨の降りしきる冬の話。
普段、出不精の俺が雨にも関わらず外に出たのも、
今思えば必然だったのかもしれない。

いつも飲んでるホットココアをきらしてしまった。
よりにもよって、こんな雨の日に。
いつもなら「明日でもいいや。」と思うのに、
この日は買いに行こうと外に出た。

家路につく途中、見慣れた女の子。
…特に友達というわけでもない。
よく行くカフェで見かける程度だ。

…ただ。

この雨の雑踏でも気がついたのは、
いつも1人で本を読んでいる姿をなんとなく見ていたから。

傘もささずにうつむき歩くその子に、
どうしようかとためらいつつも、声をかけてみた。

「よかったら、この傘どうぞ。俺んち、もうすぐそこだから。」

「…え?あ…ありがとうございます。」

「いいえ。じゃあ…。」

立ち去ろうとする俺の腕を掴んで彼女は言った。

「あの…。いつもあのカフェにいますよね?」

「はい。まぁ、たまに…っすけど。」

「じゃあ、今度お会いできたらお返しします。」

そう言うと、頭を下げて、彼女は雨の中に消えていった。
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