田舎Dream プロローグ
世界中にいる全ての大人、全ての子供。様々な人がいるこの世界で、貧富の差も体格の差も言語の違いも関係なく、誰もが持つことが出来る「もの」がある。
場所を選ばずに、いつでも自由に思い描くことが出来る。
幼稚園に通う子供でも、家でひっそりと暮らすおじいさんでも持つことが出来る。
都会のど真ん中のマンションに住んでいようが、田舎の古い家屋に住んでいようが関係がない。それは、誰もが平等に描くことが出来るものなのだ。
あおいは、思う。
人間はひとりひとり違うけれど、間違いなくひとりひとりに共通する「持ち物」を神様はつくったんじゃないか。
もちろん、よくおばさんたちが布教にやってくるナントカ教とかナンタラ宗などを信じているわけじゃない。なんとなく、この世界をつくったというものすごく漠然としたイメージの中に浮かび上がる人物を、神様と呼んでいるだけだ。
その神様が、みんなに持ってもいいと承諾したもの。
それが夢なのだと、素直に信じている。
桜井あおいは、皆が迷わず「田舎」と呼ぶ地の真ん中でも、自らの夢を思い描く日々をおくっていた。同じように夢を描き、生きる家族や親友たちと。