▼羽根の折れた天使 第二羽
 ある雨の日…。
 
 僕はいつものように庭に出て空を仰いでた。

 相変わらずの曇天…降りしきる雨の中一人傘も差さずに佇む僕の姿は奇妙に見えるだろう。

 まぁ、こんな日にわざわざ家を訪ねてくる輩はそうそういないだろうけど。

 
 「またそんなことして…風邪引いても母さん知らないからね」


 何度も聞いた事のある台詞…。

 いったい何回聞いたことがるのかすら忘れてしまったくらい、僕はよくこうやっていた。

 
 「酸性雨ではげても知らないからね」

 
 今日も母さんはそういって中に引っ込んでしまった。

 酸性雨ではげることはないって、高校の先生が言っていた気もするけど…。


 「はげるのは…イヤだな…」


 僕はいつもと同じ言葉を繰り返す。
 

 そんなこといっていても、僕がこの行為をやめることはない。

 それに、僕はこうやっていて風邪を引いたことなど一度もない。

 あ、これちょっとした自慢ね。

 っていうか、これしか自慢になることも無いんだけど…

 そんなことを考えながら曇天を見上げていたら…

 堕ちてきたんだ。

 何かが……。

2006/8/14(Mon) 16:29
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