▼羽根の折れた天使 第十二羽
いつのまにか時は過ぎて…もうすぐ二学期がやってくる。それなのに…まだまだ暑い日は続きそうだ…。
僕はいつものようにチャリをこいでいる。
「あー…暑ぃ…」
「大丈夫ですか?」
「あぁ?大丈夫大丈夫、これくらい……って!!!クゥ?!」
突然隣から聞きなれた声がして思わず普通に会話しそうになったが…
何故ここにクゥが…。
「…あれ?」
「何ですか?」
なにやら不敵な笑みを向けてくるクゥの目線は僕と同じ位置にある。
クゥの身長はせいぜい50cm…赤ん坊と代わり映えしない体躯をしているのだ…。
普通、こんなところに頭はない。
しかし、ソレと知るには十分すぎるほどの情報が僕の視覚を通して理解できた。
「……飛んでる?」
「はい。」
そう。
クゥの雷で焼け焦げたあの羽根があのときの黒焦げを思わせないほどに純白で輝いていたのだ。
僕は思わずその羽根に見入ってしまった。
これが…天使の羽根…?
「だーいじょいーぶですかぁ?」
「え?!う、うわぁっ」
思わず見入ってしまって前方不注意になっていた僕は派手に…ずっこけた。
2006/12/26(Tue) 19:30