▼It's a small ・・・.
 浜田の家の中で泉は固まっていた。誕生日だからケーキでもごちそうさせようと来たのだが、机の上にいるそれを見て動きが止まってしまったのだ。

 「は、浜田!?」
「ん?泉、何か用か?」

 一体どうなってるんだこれは!浜田がいるのは机の上、だが浜田ほどの体格の奴が机の上にきちんと納まれるはずはない。そう、浜田は小人よろしく小さくなっていた。

 「あ〜これか?これはな、一眠りして起きたらこうなってたんだ」

 浜田は自分が小さくなってしまったということに対して、そう危機感を感じてないらしい。寝て起きたらこうなってた?ありえない、絶対ありえない。そしてそれに順応している浜田もありえない。

 「あ、そうだ!泉、冷蔵庫開けてみて」
「おう」

 浜田が小さくなっていることにまだ動揺している泉だったが、とりあえず言われたとおり冷蔵庫の戸を開ける。

 中には生クリームが塗ってあってイチゴがのっただけのスタンダードなショートケーキが入っていた。泉は当初の目的を達成したことで満足して、浜田が小さくなってしまったことなどもう気にしないことにした。

 「それをここに置いて」

 そっと机の上に置く。浜田はケーキの近くに寄ってくると持ち上げてくれと言わんばかりに手を広げた。泉はひょいと浜田を持ち上げる。浜田がちょいちょいっと手を動かして泉を呼ぶので顔を近づける。一瞬、小さな囁きが聞こえた。

 そして唇にちょんと何かが触れる感触。っておい、ばか浜田め、調子乗りやがって。
 
 「ちょっとばかり調子に乗りすぎだぜ、浜田」

 空中に放り出された浜田はなすすべなくくるくると落ちていく。

 「うわわ!ちょっと酷いよ泉ぃ〜」
「知らね」
 
 地面に激突すると思ったその時ボンっと音がして、ちび浜田は消えていた。

 残ったのは無様にも着地に失敗して、腰をしこたま打った元の浜田だ。良く見ると少し涙目になっているところが非常に情けない。

 「痛たた。全く、泉は加減を知らないんだから」
「・・・いきなりキスしてきたのはどこの馬鹿だ?」

 浜田は泉の棘のある言葉にもめげずにべたべたと泉に抱きついてくる。ええい、鬱陶しい!と泉が腕を振りほどこうとしても、いつもは非力なくせにどこから力を出しているのか、凄い力で抱きしめる。

 「くそっ。いい加減にしろよ?浜田」

 大体今日は俺の誕生日だろうが、なんでこんな目に遭わなきゃいけないんだ。泉の不満が爆発しそうになったとき、浜田が突然手を離した。

 「な、いきなり手ぇ離すなよ!」

 いまさっきまで浜田にもたれかかっていたので、支えがなくなってよろけてしまった。浜田はそんな泉をにこっと見つめる。

 「・・・何だよ」
「ううん。ただ俺は幸せだなって」
 
 ・・・変なやつ。今日は俺の誕生日であって、浜田の誕生日ではないのに俺より嬉しそうだ。泉がぼんやりしていると、浜田が隙ありとばかりに唇を奪った。

 「こんの、バカ浜田っ」


 『誕生日おめでとう』





 泉くん誕生日おめでとう御座います!!
たまにこんな意味の分からないものを書きたくなります。
浜田が変な人だ・・・!

2006.11.29
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