▼ドタバタ★ハロウィン祭 4
 放課後、教室に佐助と元就の姿がある。

 「へぇ、ちかが好きな場所、ねぇ・・・」

 佐助に、元親からの情報と探索結果を知らせて意見を聞く。いまさっきから、議論は停滞したままだ。

 「目ぼしいところは全て探したのだが、見つからなかった」
「どこに隠したんだ?・・・俺だったら相手にしか分からないようなところに隠すなぁ」

 佐助がぶつぶつと独り言をつぶやいている。・・・相手にしか分からぬ場所?元親の考えそうなことだ。なぜ気が付かなかったのであろう。
 我にしか分からぬ場所・・・。・・・あそこか?もしかしたら、いや確実にあの場所だ。

 「佐助、助かった。あの女に約束は取り付けてある。部活の後にでも貰うがよい」
「了解。ありがとな」

 元就は急いで自分の部室に向かった。おそらく、そこにお菓子が隠されている。 がらりと扉を開けて奥の奥、沢山置いてあるダンボールを掻き分けた中に案の定それはあった。大きな袋に色とりどりにラッピングされているお菓子が入っている。

 「あーあ。見つかっちまったか。残念」
「元親。何だ貴様か」

 声がするので振り返ると元親がいた。予想していたよりも落ち込んでいない。ふん、こんなものか、つまらぬな。

 「もしかしたらバレないかもな、とか思ってたけどよ、やっぱ無理だったか」

 少し顔を歪ませている。元就の望んでいたものにかなり近い。もう少し落ち込まぬかと期待したが、元親は明るさを取り戻すと言った。

 「でもよ、お前がこの場所に気付いてくれたから、まあいいか」

 この場所は二人がこの学校で初めて会った場所だ。それを元就が覚えていた事を嬉しいという。頭の中の螺子が何本が抜けているに違いない。元就は探し当てたお菓子を袋ごと持ち上げると、ひょいと元親に押し付けた。

 「我の勝ちだ。お前が引き取れ」
「あ?没収しねぇでいいのか?」

 元親が怪訝そうな顔で聞く。馬鹿は話が通じにくくてならん。もう少し洞察力を身につけるべきだ。元就はさも面倒臭いといったふうに口を開いて端的に説明する。

 「我が持っていても処分に困る。貴様がするがいい」
「おう、ありがとな」

 何で礼を言う必要があるのだ。我はただ処分するのが面倒だっただけで、そのお菓子の持ち主達のことを考えた訳ではないのだぞ。

 「・・・おい元親、何か忘れておらぬか?」
「んあ?んなもんあったか?」

 元就の質問に、本当に心当たりが無いふうに元親が答える。

 「これも処分しろ。我には必要ない」

 と、元就がカバンの中から小さな包みを出す。それは勿論元就が元親にやるために持ってきたお菓子だ。

 「貰っていいのか?」

 だから何故この男は一回言っただけで理解できぬのか。それの理解に苦しむわ。元就は冷たく、先ほどの言葉を繰り返す。

 「処分しろといっている」
「ありがとな」
「ふん」

 比べて元親の声はとろけそうなほどに弾んでいる。元就はカバンを掴むと昇降口へと歩き出した。元親が後ろから付いてくる。

 我がお前を好きだなどと、勘違いするでないぞ元親。





 うわー。終わったよー。長かった。読みづらくてすみません。

2006.10.31
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