▼いつもお疲れ様
一応補足:隼人→福留隼人、元親のじいやみたいな人。ふわ〜。くそ、隼人のヤツこんな朝早くに起こしやがって。全く、あんなにガミガミ怒んなくたって仕事ぐらいすんのによ。あ〜あ、なんかいいことねえかな・・・。
「長曾我部!遅いぞ。我がわざわざ四国などという田舎に足を運んでやったのだから、一日前から出迎えて居るのが礼儀ぞ」
相変わらず傲慢だ。もうちっと可愛い言い方してくれてもいいんじゃねえか?大体間が悪い、いつも来いって言ったときには来ねえくせに忙しくて構ってやる時間がねえときに来るんじゃねえよ。
「ああ?なんでここに居んだよ。俺ぁ仕事すんだから邪魔になんなよ」
邪魔さえしなけりゃ居ても良いっつってんだから俺も優しいよな。他のやつが来た場合だったら追い返しちまうんだけどよ、そこはホラ、愛ってヤツだよ。
「ぐ、愚劣な!貴様の分を弁えぬ態度、我慢が過ぎる!」
え?なんか不満みてえだな。元就のことはいまいちよく分かんねえや。全く我侭なヤツだぜ。饅頭はどこにやったかな、茶でも出しとけば大人しくしてるだろ。
「ちょっと待ってろよ〜」
「な!我を置いてどこへ行くというのだ!待て!」
やかましいヤツ、アレで戦場では氷のような顔してるってんだから不思議だよな、っと。あ、あったあった。四国特製オクラ饅頭、半分が元就への愛で出来てるぜ。茶はどこだっけ・・・、ってうお!も、元就!?
「そのような顔をしていると只の間抜けと思われて城から引きずり出されるぞ」
縁起でもないこというなよ・・・。で、台所で何をしてるかというと茶を注いでいた。
「お、珍しいな元就が茶ぁ注いでくれるなんてよ」
「ふん、我にできぬことなどない」
とか言って茶がびちゃびちゃ零れてんだけどな。後で拭いとくか。さてと部屋に戻って仕事すっか。ん?元就も一緒に来るのか。ちゃんと茶持ってるやがる。おうおう、危ねえ、茶が零れそうになってるぜ。さっさと茶渡せよ。危ねーだろ。
「何をする!これしきのこと我は幾度と無く乗り越えたわ」
はいはい、そうですか。んじゃお言葉に甘えさせてもらいますよ。ほんと可愛いなこいつ。意地なんか張っちまって、強がってんのがみえみえなんだよ。
「んじゃ、俺仕事すっから」
あー面倒くせ。さっさと終わらせて元就の相手もしなくちゃなんねーしよ。てか元就は何のために来たんだよ。邪魔しに来たって訳でもなさそうだよな。
「長曾我部。肩を揉んでやる」
「は?」
ありえねえ、元就は熱でもあんじゃねえのか?しかもやっと仕事始めたところだってのに肩なんか揉まれちゃ何も出来ねえじゃねえか。
筆を離さずにいれば元就も肩を揉んでくるなんてことは無いだろ。ってええっ!ちょ、まじで?やめてくれ!す、墨が俺の一張羅に!
「やめろ!」
・・・そんな顔すんなよ元就。確かにきつい言い方だったかもしれねえが、あきらかにお前が悪いだろ。
「なぜだ?なぜ貴様は我を拒むのだ?」
泣いちまった、拒むったって只やめろっつっただけじゃねえか。・・・そういえばこいつ、傷つきやすいんだったな。
「・・・悪い。元就、肩、揉んでくれるか?」
やっぱりこいつには甘くなっちまう。鬼も人に感化されちゃおしめえだよな。でもま、しかたねえか。元就は涙を拭いている。まだ目が赤えな。あ、こっち見た。
「ふ、ふん!仕様がないな」
ったく、涙声でそんなこと言っても誤魔化せてないぜ。ほんと素直じゃないな、そこが好きだなんて言ったら殴られるんだろうけど。ああ、気持ちいい。たまには元就の我侭につきやってやるのも悪かないかもしれねえな。
「長曾我部」
「なんだ?」
「いつも世話になっている。感謝するぞ」
「ああ、こちらこそ。いつも振り回してくれてありがとよ」
「愚劣な。我に礼を言うなぞ百年早いわ」
「ははは」
「な、何を笑っておる!」
勤労感謝の日なんで、いつもなんだかんだ言って元就の我侭に付き合ってくれる元親に安らぎを与えたかったんですが、元就の所為で台無し。いいんだ!不器用なところが可愛いんだ。開き直ってます。元親はもっと格好良いはずなのに、私じゃこれが精一杯です。
2006.11.23