▼相反すべきもの
「好きだ、元就」
驚いた。
いつになく真剣な顔の鬼が我を見て言った言葉は冗談にしては重すぎた、けれど現実として受け止めるには余りに遠かった。鬼はそれも分かっているらしい、苦しそうな表情で我に懇願でもするように、じっと目を見つめてきた。
我は貴様の願いに答えることはできぬのだ。
我も貴様も一国の主、馴れ合うようなことは出来ぬ立場にある。分かっている。我の心も眼差しもきつく鋭くなっていて、ただ震える手のひらだけが正直だった。
鬼は我を抱きしめようと、腕を伸ばした。すっぽりと我の小柄な体は鬼の腕の中に包み込まれてしまった。鬼の肌は冷えきっていた。
我はただされるがままだった。
リハビリで書いたものです。短すぎて何の話なのかよく分からないですね。
2007.06.04