▼夢ですら会えない
 これはNOVELのチカナリ内にある『夢でしか会えない』の続編です。
 こちらをお読みになる際は、お先にそちらのほうをお読み下さい。
読まないと多分話が分かりにくいです。
 あと、これは元就が元親の夢の中に精霊としてでてくるという謎設定の上に書かれています。
苦手な方はUターンしてください。




 昨日も夢の中で元就に会った。元就と会った次の日は、不思議と気持ちが晴れやかだ。元就と一緒にいるという行為がとても嬉しいことだからかもしれない。
 いつものように、朝の少し混雑したバスの中でそんなことを思っていると、横から政宗に小突かれた。
 
 「Hey、元親。最近ぼんやりしすぎだぜ。Coolじゃねえな」
「そうか?俺よりお前の方がよく片倉先生の授業んときぽ〜っとしてんじゃねーか」
「Oh!それは仕方ねえだろ。小十郎先生が素敵過ぎんだよ」
「・・・俺はもうなにも言わねえよ」
「何だ?」
「何でもねえ」

 下らない会話を繰り広げていると、もう最寄りのバス停に着いてしまった。慌てて降りようと、前に進んでいるときに、ふと見覚えのある顔を見つけた。
 最初見たときは誰の顔なのか分からなかったが、その顔がふと横を向いたときに気付いた。そいつは、元就によく似ていたのだ。

 俺は驚いて、まじまじとそいつを見ていた。もちろん、大きさは全然違う。元就は人と比べるとかなり小さいが、そいつは普通の人のサイズだった。
 でも、あの特徴のある凛とした感じや、少しはねた毛先、鋭いあごのラインなんかは、元就とそっくりだった。そう、まるで、元就を大きくしたらこうなるよな、っていう想像そのままって感じだ。ただ、そいつの方が元就よりも冷酷そうな印象を受けた。

 「おい、元親。早く降りろよ。Backがつかえてんぞ」
「あ、ああ。悪ぃ・・・」
政宗に突かれたのと、後ろに並んでいた人の目線が痛かったのとで、慌てて降りる。
さっきのやつがどんなやつなのか気になった。制服を見ると、元親の学校から少し離れた所にある、いわゆる有名進学校と呼ばれる学校のものだった。ということは、頭は相当いいようだ。ちょっと、話しかけづらい。

 「なあ、元親。お前本当に大丈夫か?」
政宗が先程とは違い、真剣な様子で訊いてくる。バスの中で立ち止まってしまったことが、余計な不安を与えたのだろう。
「ああ、大丈夫だって。ちょっと眠かっただけでよ」
「そうか、ならいいけどよ」
嘘を吐くのはあまり良い気持ちはしないが、説明しても理解されないだろうからやめておいた。だって、自分の夢の中に出てくる精霊にそっくりなやつがバスの中にいたなんて話、誰だろうと信じられないだろう。

 とりあえず、今日元就に会ったら真っ先に話そうと思った。元就はどんな反応をするだろうか。驚くだろうか、不思議がるだろうか、はたまた面白がるだろうか。少し、楽しみだ。





 終わってなくて、すみません!
これに続けてアップしますので、トップで更新のお知らせがあったらここを見てくださいね。
 まあ、なんかありがちなネタで、オチは見えてきましたが、最後まで頑張ります。

 では、ここまで読んでくださって有難うございます!

2008.06.07
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