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私は先日、映画「ローンレンジャー」を見た。この映画はマスクをした少年と老人が出会うところから始まり、この老人の昔語りによって構成されている。それゆえにビックフィッシュのような誇張表現や、説明を省くことによるストーリーの飛躍が垣間見られ、しばしばそれを少年に指摘されている。とは言ってもビッグフィッシュのように露骨ではなく、至って普通の物語となっている。その老人の話は法律化を目指す青年ジョンとインディアンのトントが協力して悪役ヴェンディチェとその仲間を倒すといういかにも王道なものである。しかしその随所に死人を蘇らせる儀式(これによってジョンが蘇りローンレンジャーとして活躍する)や物々交換を原則とする、風を読み目的地を当てる、白馬を大切に崇拝するといったトントのインディアンらしい伝統を大切にする振る舞いなどが散りばめられておりそれに加え、ところどころ良いところにその白馬が来ていたりとややご都合主義的ないかにも会話的な部分が垣間見られた。 この鑑賞体験では私はジョンの心理的変遷に注目した。彼は法律家を目指しており物事に対して常に冷静風に対応しており物語冒頭から、たとえ悪人であろうと法の正義の下に裁かねばならないと口癖のように言って私情に流されなかった。それはヴェンディチェに兄を目の前で殺された後も変わらなかった。相棒トントの暴走気味な行動に対してもやや困惑しながらも冷静に対応しておりいわゆるツッコミ役的な立場をとっている。 しかし、物語が進むにつれてこの態度にも変化が現れる。トントは、幼い時に結果だけ見るとトントの村に訪れた男の持っていた安物の銀時計と村人全員の命を取引した。それゆえその男を悪霊の意味を持つヴェンディチェと呼び数十年追い続けてきた。 |