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2010/11/22(Mon):プロポーズ
 初めて鎧のパワーを目の当たりにした俺は想像以上のその力に言葉を失った。
 こんな力を使ってあんなバケモノ達と戦うのか…
 見渡せば頼りなさそうな奴らばかりだし、正直すぐにでも逃げ出したかった。
 「怖じ気づくな」
 俺の気持ちを見透かしたように余裕ぶって声をかけてきた奴。それが征士だった。
 ムカツクーーー
 いるんだよね、こういう自信過剰な奴。俺様を誰だと思ってる?お前らみたいにバカじゃないんだ。どうみても分が悪い戦況を考えたら嫌にもなるさ。
 「何?あんたそんなに自信あるわけ?頼りになるじゃん!」
 イヤミのつもりで返した言葉。普通のやつなら怒りまくって殴り掛かってくるだろう。掛かってこいよ。こっちも手加減しないからな…って構えてたのに、征士のやつはちょっと目を丸くしてから、ふ…と息を吐き静かに答えた
  「自信などない。しかし臆病風に吹かれては勝てない…まったく。こんな面倒なこと、とっとと終わらせたいものだな」

 ・・・え?
 最後の方は独り言っぽかったけど…今なんて言った?面倒臭いって言った?!
 「…ぶっ!はははは!!」
 腹を抱えて笑い転げる俺を見て急に恥ずかしくなったのか「何がおかしい!」って顔赤くして抗議してきた。
 「はは…いや、悪い。すっごい余裕だったからさ。すげーなぁと思ったら面倒とか言うからおかしくて…  あ、俺は羽柴当麻よろしくな」
 そう言って右手を差し出すとバツの悪そうな顔をしながらも真っ直ぐに視線をぶつけてきた。
 「伊達征士だ」
 その時の征士の顔は今でも覚えてる。もしかしたらこの瞬間から俺は征士に一目惚れしたのかもしれない。

 それから戦いの間も俺の戦略を飲み込めず食い付いてくる仲間に征士はわかりやすいように補足する役をしてくれた。
 俺がへこんでいる時には何も言わずそばにいてくれたし、辛いな…と思った時には得意じゃない笑顔で話しかけてくれたりもした。長かった戦いだったけど征士がいてくれたから俺は最後まで戦えた。
 友達付き合いとかロクにしてこなかった俺にとって、征士の存在がただの仲間や友達を超えたものだと気付くのにそう時間はかからなかった。だけどそれは常識では許されないであろう気持ちで…俺は必死に気持ちを隠して友達のポジションをキープし続けた。 
 戦いが終わってそれぞれの生活に戻って、気持ちを紛らわせるようにいろんな娘と付き合ったりもしたけど、どれも長続きしなくて。
 やっぱり一番居心地いいのは征士との空間なんだ…毎日そんなことばかり考えていた。
 そんな時NYでの事件が起こった。遼の誕生日までには帰れると電話で話していたのに…無防備にも捕まった征士につい怒りをぶつけ、思わず泣かせた。…その時、俺は心に誓った。

 『お前を誰よりも幸せにしたい。俺のこの手で…!』

 泣いてる征士を抱きしめ、気付いたら俺も泣いていて。そんな俺を見て涙を流したままの征士は微笑んで「よろしく頼む」と頬にキスをくれた。一瞬何が起きたかわからなかった。後で聞いてみると心に誓ったと思った言葉がそのまま口からでていたらしい。俺様一生の不覚・・・

 付き合って10年目の頃、指輪を贈ろうとしたら「必要ない」と却下された。その代わりに腕時計をお互いで交換した。その時計は今も同じタイミングで時を刻み続けてる。

 そして現在。20年経っても隣に居る征士の指には俺からの指輪が光ってる。受け取るときはやっぱり「必要ない」って言ったのに。俺が「気が向いたらでいいよ」何て言ったら恥ずかしそうに
 「最近やたら周りから結婚してるのか?と煩いので丁度良い虫よけになるな」
 とか何とか言ってつけてくれた。
 愛してるなんて何回言ったかわからない。その度に征士は照れて「馬鹿者」って言う。そんな当たり前のような日常をくれたお前に感謝。

 征士、これからもずっと一緒にいような
Posted 23:39
2010/2/21(Sun):湯たんぽ?

冬場に布団に入る時って冷たくてイヤですよね〜
当麻はちゃっかり征士と入れ替えに布団に入りそうですv

征士も当麻が戻るギリギリまで布団を温めてあげてたらイイ!
もちろんそんな嬉しい事当麻は知る由もありませんw

あ、ちなみに。まだお互いの気持ちに気付いていない、共同生活の頃の設定でw
Posted 14:16
2010/2/3(Wed):節分
<side Seiji>
正月を過ぎるとスーパーの店頭では節分商品が並び始める。
毎年節分の頃になると柳生邸で経験した苦い思い出が蘇る…

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

妖邪界へ攻め入る前、張りつめた緊張を解そうと「節分だから豆まきしよう!」と言い出したのは遼だったか…
その日、買い物担当の私が豆を買って来る事になったのだが。

買い物から帰るなり秀と純が人から荷物をかっさらって中身を物色しはじめた。忘れてなどいないのに失礼な奴だ。しばらく荷物を探していた純が
「あれ〜?征士兄ちゃん。豆はどこ?見つからないよ〜」と今にも泣きそうな顔で訴えて来た。
「何を言っている。今その手に持っているではないか」人をからかうな。と言おうとした所を秀の言葉が遮った。

「それは『落花生』だろ?豆まきの豆じゃねぇじゃん!!」
…秀も純も何を言っているんだ?

「豆まきって言ったら大豆だよ、征士」
…伸、お前まで何を…

「もしかしてお前の所は落花生まくのか?」
それぞれの顔を見ているしか出来なかった私の気持ちを察したように、当麻がかけてくれた言葉に無言で頷く事しかできなかった。

「普通…落花生ではないのか?」
「俺の所は大豆だな」と秀の言葉に私以外の全員が同意する。
軽い衝撃を受け呆然とする私に
「落花生だと床に落ちても中身は綺麗でいいかもな」と一生懸命フォローする遼をみて次第におかしくなってきた。

「そうだったのか。習慣が違ったようで悪い事をしたな。今から買い直してこよう」と再び出かけようとしたところを皆がとめた。
「実は俺、あの豆年の数食べるの苦痛だったんだよなー」
「大豆は後片付けが大変で…」
「落花生の方が投げ応えありそうだな」
「今年は落花生でいいじゃん!」

そうして始まった豆まき大会が盛り上がったのは言うまでもない。

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

「どうした?征士。顔がにやけてるぞ?」俺の事考えてた〜?
なんて調子に乗ってる当麻を軽く睨みながら
「みんなで初めてやった節分を思い出していた。慣習の違いを思い知らされたな」と笑ってみせた。
「あぁ、確かに。俺だって夕飯に『太巻き』がなくて驚いたし」
そう言って当麻も笑っていた。
今でこそ全国的に『節分には恵方巻を食べましょう』という風習が根付いて来たが、そもそもは関西が発祥で『恵方巻』と言わず『太巻き』なのだと教えてくれた事もあった。

「今日の夕飯は太巻きと大豆36粒だな」
「えー。落花生にしてよ(笑)」

あれから20年もこいつと節分談義をするとは思いもしなかったな。また今年も無事に過ごせるように太巻きと大豆とメザシで厄払いしよう。

おわり

→節分の行事ひとつで西と東で慣習が違って面白いですよね。
そんなひとつひとつをネタに柳生邸で少年達は盛り上がっていたんだと思いました。
Posted 16:36
2009/11/27(Fri):日常『風呂上がり』

「当麻っ!!ちゃんと拭いてから出ろといつも言ってるだろうっ!!」
「はい、はい」(まーた怒られちゃったw)
「返事は1回でいい!まったくお前は毎回毎回…」

「はいはい。あーもう!文句ばかり言う口は塞ぐぞ」
「・・・!!」

「きっ…貴様っ!反省の色がないーっっ!!!」
Posted 09:19
2009/8/19(Wed):アクアリウム
今日は久しぶりに征士とデートだ!!
どこへ行きたい?って聞いたら「夏らしい所」というリクエスト。
正直、暑い中出かけたくはないけど…珍しい征士からのリクエストは叶えてやらないと!

でもなー、夏らしいって何処だ?やっぱり定番の海とかプール?
いやいや。そんな所は日焼けしない征士の肌にはダメだ!…つか水着姿なんて他人にみせられるかってーの!!
なんて一人悶々としてたら俺の気も知らないで「海がいい」なんて言いやがった…orz

軽く落ち込んでる俺に気付いたのか「いや、海というか…あそこはどうだろう?水族館もあるし久しぶりに行ってみたい」と家からそれほど遠く無い臨海公園を指名した。
そうと決まればレッツゴー!!だ

公園へ着いてまずは水族館に行ってみた。
うん、冷房は効いてるし館内はちょっと照明が暗くて征士に密着してても周りに気付かれない…もうサイコー!!と気分上々の俺。
ふと隣の征士をみたら肩を震わせ顔も俯き気味だ
…えっ…どうした?!
調子に乗って腰やらお尻やら触ってるから怒っちゃった?
焦って顔をのぞくと涙目になった征士が…
・・・

笑いを堪えてる所だった…

「っく…とーま…見てみろ、…お前みたいな魚がいる…くくっ」
懸命に笑いを堪えて指差した水槽にいた魚は・・・・

「ぶっ!何これ!おもしれー名前っ!つーか、俺じゃなくて『俺達』の事だろ」
ここが水族館じゃなきゃ大きな声出して笑いたかった・・・!!
それでも二人して腹を抱えてひーひーと呼吸が苦しくなる位、声を堪えながら笑った

Posted 08:58
2009/7/20(Mon):遺言
ある朝、新聞を広げていた当麻が何かをみつけたらしい。
「おっ!これいい!ね、征士これ見てよ」
何か楽しい記事でも載っているのかと見てみると、そこにはとある企業の広告が載っていた。

『ご遺骨からダイヤモンドをお作りします』

「…何だこれは?」
縁起でもない。と言うかわりに思いきり睨んでやった。
そんな私をよそに当麻はさらに話しを続ける。

「今の技術ってすごいなー。遺骨からダイヤが作れるんだってよ!
 なぁ、俺のもダイヤにして征士が一生持っててくれない?」
言うと思った…このバカが。そんな顔して言うな!

「バカな。何故私がお前の死を見ねばならんのだ。そんな事はお断りだな」
「ははは…。まぁ『もしも』だよ。ほら、俺のうちって多分墓を建てないから。俺がいなくなったら無縁仏になっちゃうだろ?それに親父の方は他の兄弟が先祖代々の墓を守ってるから俺達が入る訳にはいかないしな。」
お前の所と違ってさ、寂しいだろー?そう言って笑う当麻を見て少し胸が痛くなった。

「仕方ない。その遺言聞いてやろう。
 ただし、私が先に逝った時も同じようにしろ。いいな?」
「え…?だってお前のとこ立派な墓あるし…家族もいるし…無理だろ…?」
「本人の遺言なんだから構わないだろう。
 それに…後にお前のダイヤと一緒に私の家で供養してもらえばいい。それなら寂しくあるまい?」
「ありがと、征士。…俺すっげぇ幸せ者だな。死んでからもずっと一緒にいていいの?」
「一緒に供養しないと成仏できずに伊達家の末代まで祟られそうだからな。」
「なるほど…それもいいかも知れないな!」
一瞬目を丸くして盛大に笑い出した。
「馬鹿者!私の家は墓の中まで厳しいからな。覚悟しておけよ」
そう言って二人の笑いが止まる事がなかった。


始めは冗談で話してたつもりだった。
でも当麻のこの笑顔は本物だ。こんな些細な事で当麻が安心できるならお安い御用だ。
二人ともボケが始まる前に遺言状を認めるとしようか。

* * * * * * * * * * * * * * 

新聞広告に載っていたのを見て。
征士と違って当麻は一人っ子なのでこういった問題も抱える事になるのかな〜?と思ったのでした。
あ、当麻の事だから両親の遺骨は「残ってもしょうがないだろ?」とか言って散骨しそうです。
Posted 08:32
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