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●「天災!?」……完売しましたありがとうございます
  コピー本 3巻セット+おまけ本付き。ぬるいR18
  
●「誘惑も罠も運命だ」……残部1冊
  コピー本 20ページ 150円 ぬるいR18 
 
●「二十歳の夜」……残部2冊
  コピー本 上下巻セット 800円 R18
 
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通販希望の方は 
  1、お名前@(御本名)
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  以上5点を明記の上、「通販希望」という件名でご連絡ください。
            ↓
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 *発送はメール便とさせていただきますが、ゆうメール、エクスパック等ご希望の方はその旨明記してください。

 *また他にもご要望などありましたら可能な限り検討させていただきますのでお申し出くださいませ。(郵便局留めは申し訳ございませんが不可とさせていただいております)

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……諸連絡がある場合ならびに郵便事故等の緊急連絡時にサイト上で呼びかけるお名前となりますので、ご自身だとわかるハンドルネームを必ずご記入下さい。
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●R18内容もしくは暴力的表現を含みます。十八歳未満の方の通販は受け付けておりません。ご了承ください。

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以下の本は完売しました。ありがとうございました。
 ■鋼○錬金術師(ロイ×エド)
 『君と未来の約束をしよう』『チョコレート&ダイアモンド戦争』『ストロボライツ』『サミシイコドモ』『その背に彼の影を見る』『Egoist』合同誌『なあ、オレのコト抱いてみねぇ?』『天国の拷問・上・下巻』『優しい気持ち』『赤に沈む』『サヨナラを、告げる』『純情闘争』『Heaven!!』サイト再録SS集『RE;creation!青』サイト再録SS集『RE;creation!赤』『眠りの森で待っている』『秘密』『Reach for the Blue Sky』『約束の、先 〜 After Reach for the Blue Sky 〜』『There Will Be Happiness There』『約束の温度』『物語の結末はいつも』『三年後の恋人』
 ■夏○友人帳(名取×夏目)
 『夏はため息をつく』
2011/9/17(Sat) 17:40 ..No.42
9月新刊「天災!?」


コピー本。3巻セット+おまけ本付き。1200円。

サンプル↓


場所はといえば外国の要人すら迎えることもできるという超高級ホテルのスイートルーム。そして二人はつい先ほどこのホテルの式場で、国家挙げての盛大な結婚式也披露宴を終えた。式だけではなく披露宴に各種報道陣への記者会見までこなした揚句、ようやくのことで二人はこの部屋のベッドの上に解放されたのであった。
ロイは軍人であるからして軍服ではあるが、まあ一応正装だ。
そしてエドワードは裾をこれでもかというばかりに引きずる純白のドレスを着用させられていた。
服装からしてわかるように、ロイは新郎、エドワードは新婦なのであった。そう二人はめでたく……か、めでたくないのかわからないが、とにかく法律上は夫婦となったのだ。
自分たちの意志ではなく。
国家の命令として。
男同士だというのに。

本来であれば、エドワードもロイもそんな理不尽な命令など拒否したはずだ。命令されたからといって素直に粛々として命にしたがうような性格の二人ではない。
だが、しかし……、なのであった。結果としてこの新婚初夜を迎えてしまうことになった。
それには訳がある。
訳はあるが、ロイとエドワードはベッドの上で、お互いに眉間にしわを寄せて。苦虫をつぶしながら向かい合っているのだ。
「大佐。アンタ、男のオレに見境なく襲いかかる趣味あったのかよ」
「無い。言っておくが私は女性が好きだ」
即答、である。
同性愛好者でないエドワードが同性愛好者でないロイと夫婦生活を営むことを希望するはずはない。そしてそれはロイも同じだった。
「いや、しかしだね……」
しかし、なのだ。
冗談や嫌がらせでこんな羽目になったのではない。
アメストリスという国も、ロイとエドワードに結婚せよと命じた大総統も酔狂で法律改正まで行って二人を夫婦としたわけではない。
理由が、あるのだ。れっきとした理由が。
「何が悲しくてオレとアンタの子供作らなきゃいけねえんだよっ!それもオレがあんたの子供産む?冗談じゃねえっ!オレは男だっ!」
が、無理でもなんでもそれを成し遂げなければならないのだ。

エドワード・エルリックはロイ・マスタングを夫とし、そして早急に子を成すこと。それが出来なければこのアメストリスは滅びるであろう。

予言、らしい。
とある予言者が、このような馬鹿げた話をさも重要だとばかりに告げたのだ。

そのために二人は今日この日、国家挙げての夫婦となったのだ。
2011/9/17(Sat) 17:37 ..No.41
8月新刊「誘惑も罠も運命だ」


コピー本 20ページ 150円

通販ご希望の方は通販要綱にしたがってお申し込みください。


サンプル↓

人間食わなきゃ死ぬんだと主張して、ぎゃあぎゃあ騒ぐ子どもをホテルに連れ込んだのはなにも下心などがあるというわけではない。単に私が出張中の身で、宿泊先がホテルだったというだけだ。あ、いや……本音を言えば、下心というものも少しくらいはあったかもしれないのだが。いや、あくまで今日のこの出会いは偶然だった。
ハラヘッタと実にうるさいこの子どもは、弟に財布を渡したままトラブルに巻きこまれただかなんだかで、結果として弟とはぐれてしまったと力説する。
「簡単に言えば迷子かね?」と尋ねれば、即座に「アルの方がオレからはぐれやがったんだー」と睨んでくる。十中八九というよりもこれば完全にアルフォンスのミスではないな、とわかってしまうが、そこを突くと不機嫌さを増すばかりだろうから敢えて突っ込まないでおいてやろう。
まあ、ともかく。そういうことで一昨日から何も食べていないらしいのだ。そして「ここで大佐に会ったのはラッキーだな!とりあえずなんか食わせろ金も貸せ!」と当たり前のように告げられた。銀時計は持っているのだろうから銀行にでも行け、と思ったのだがよく考えてみなくとも一昨日から今日までは日曜祝日と続いていた。預金はあっても現金はなし、か。まったくもって無意味だな。……まあ仕方がない。私は鋼のの後見人でもあるのだから保護をするのは当然のことで。食事くらいさせてやるのも義務のうちだろう。まあそういう事情で鋼のを私が目下宿泊中のこの高級ホテルに連れてきたのだ。少々どころか非常に汚れた風体をしていたので、レストランには行かず、部屋でルームサービスを頼むことにした。適当に二人前の食事を頼む。ああついでにワインとジュースも付けてくれたまえ。などといういい加減なオーダーにも関わらず、届いた料理はすべて皆食欲をそそる素晴らしい香りだった。チーズ三種盛り合わせに焼きたてのパン。スモークチキンのサラダにポタージュスープ。バルサミコ酢のヴィネグレット、仔牛肉のウインナシュニッツェル。鮮魚のポアレにピザにパスタ。さすがアメストリス軍部高官御用達ホテルだな、と無駄な感想を抱きつつ私はワインを傾ける。ちなみにこれらの二人分の食事のほとんどは鋼の錬金術師、エドワード・エルリックの胃袋の中に収まった。あまりに見事な食いっぷりを見ているだけで私は満腹感を覚えてしまったのだ。この小さな身体の中によくもまあ収まるものだと言葉にすればせっかく満腹感でご機嫌になった鋼のの機嫌が下降してしまう。それは得策ではない。余計な言葉を発しないようにと私はワインをゆっくりと堪能する。
「食欲は満たされたかね?」
「あー、ごっそさん。腹いっぱい」
「そうか。それはよかった」
あっという間に皿は空だ。ここまで素晴らしい食いっぷりを披露されると呆れるどころか感心する。
「あーのさー、大佐」
「うん?何かね?」
「風呂借りていいか?実はオレ一昨日からシャワーも浴びてねえんだよ」
見ればわかる。だからレストランには向かわずルームサービスを取ったのだ。私は承諾の返事をする。
「構わんよ。ゆっくり浸かってくるがいい」
「おうっ!ケツの穴まできれーにしてやっからさ」
げふっとワインを吐きだしそうになってしまった。いかんいかん。きっと彼の言葉に他意はない。その手に意味はないはずだ。そうだ私の行動にも下心など何もない。あくまで一文無しの鋼のに食事と寝場所を提供しただけ。下心などは……鋼のに悟られているわけは、ない、と……思いたい。
2011/8/10(Wed) 13:04 ..No.39
4月新刊サンプル・その1


「二十歳の夜」
コピー本 上下巻セット 800円


サンプル↓


約束をした。

一つ目は、大佐が大総統になったら借りた金を返すこと。
だから死ぬんじゃねえよって意味を込めた。
もう一つは、そんなに重要なことじゃない。何かの話の折にふっと大佐がこぼしたんだ。
「君が……そうだな、二十歳になったら一緒に美味い酒でも飲もうか」
約束っていうよりなんていうか、単なる思い付きみたいな軽い口調で。
でもその時の大佐の目が、すごい遠くを見ているみたいで。
今のオレを見ているんじゃなくて、その二十歳に成長したオレを想像しているっていうかそんな感じに遠くを見てて。
一緒に美味い酒なんて飲むことなんてないんだろうけど。
だけど、そういう未来があれば嬉しいっていうカンジっぽくて。
あー、……それもなんか微妙に違うか。
もう失くしてしまった過去を振り返るようなそんな顔っていうんだあれは。
いや、それも微妙に違うのかも。
嬉しいって言うだけじゃなくて悔やむ、みたいなニュアンスもある微妙な顔。
言うはずなかった言葉をうっかり口に出した時みたいな。
違う、かな?オレにはよくわかんなくて。
だからオレは、何を戯言言ってんだとかいつもみたいに大佐と食事だとか茶なんて冗談じゃねえとかそんな軽い反発なんかすんのやめて。
「いーぜ。楽しみにしてやるよ。大佐を破産させるくらいにめちゃめちゃ高い酒、飲みまくってやる」
なんて答えて。
そうしたら大佐はほんの少しの間だけ驚いたみたいになって。それから……ゆっくりと笑ったんだ。さっきまでとは全然違う顔。
社交辞令とか胡散臭いいつもの笑みなんかじゃなくて本当に嬉しそうに。
オレは、大佐のそんな顔、初めて見た。


……それで、オレはもうすぐ二十歳になる。






「……この気持ちはアイツの足を引っ張るだけだ、」
大総統になるため。
この国を真っ直ぐに進ませるため。
それに邁進しているロイ。
「……だから好きだとか、言えねえなぁ……とかさ。何してんだろうなぁオレってば」
想いを受け取ってもらえるとは思ってなどいない。
ロイの隣に立つのは自分では無く別の誰か。
「結論なんて出てるんだ。とっとと告白とかして玉砕してふっきっちまえってーの」
それが出来るのなら苦労はしない。エドワードは「ふう……」と息を吐き出した。吐く息は白い。赤でも青でもなく。未来は見えない。どうしたいのか、もがいているわけではなく、停止、している。身動きが取れず、いや、身動きをしないままの停滞状態。
「……未練たらしく思い続けるオレなんて、似合わねえってわかってるのに」
会うのは、無意味だ。
会わないほうがいい。
会えば辛くなる。
忘れてしまえばいいのに。諦めてしまえばいいのに。
わかっている。けれど迷い、そして惑う。
「手紙なんか寄こしやがって……、」
会いたくなる。
期待したくなる。
好きだと思ってもらえないまでも、少しくらい特別な位置を自分が占めているのではないかと勘違いしてしまう。
エドワードは深く息を吸って、そして吐きだした。
「うだうだ言ってても仕方ねえ。この手紙が『約束』と無関係なら無視する。大佐には会わない」
声に出す。自分の意志を決めるために。
「もし、約束を覚えてたら、」
覚えてたら、どうするのか。
思わず指先に力が籠り、ぐしゃりと手紙が歪んだ。
「覚えてたら……」
どうするのか自分は。エドワードはこの期に及んでまだ迷った。
「この手紙があの約束を守るものだったら、」
エドワードは震える手で、それでも封を開いた。
2011/4/18(Mon) 12:46 ..No.37
4月新刊サンプル・その2


ロイエド「最速最短フルコース!」
コピー本 完売しました!ありがとうございます!


ロイ・マスタング大佐の自室で、今、ロイとエドワードは無言のまま見つめ合っていたのだった。
そう、無言。
先ほどから一言も言葉を発してはいない。
お互いの視線を絡めあったまま、何一つ音声として発することがなかった。
いや、何かを告げようとするのだけれど、それは言葉にならないまま、二人ともパクパクと口を開け、開けては閉めての繰り返し。
何故、こんなことを繰り返しているのかと言えば、お互いがお互いに想いあっていたことを、運悪くだか運よくだかわからないがついうっかりと伝えあってしまったからなのであった。
告げようとしたわけではなく、ほんの偶然からお互いの気持ちを確認しあってしまったというわけで。
うれしいより何よりもまず茫然として。それから、はっと我に返って状況の確認をしたところなのだ。
状況。これが現在の、最大の問題だった。
すでに時刻は夜。深夜とまではいかないがそれでも夜は夜。市場やレストランはとっくに閉まり、酒場のみが繁盛するこの時刻。そんな時エドワードはロイに自宅に来て。さらに今夜一晩、つまり朝まで、この決して広くはない2LDKに二人っきりで過ごすというわけだった。いや、それは数時間前までは何の問題もない状況だったのだ。なぜならつい先ほどまでは、単なる上司であり後見人であるロイと、その手のかかる部下としてのエドワード、でしかなかったのだから。一夜の宿を借りることくらい何の問題もなかった。実際エドワードはこれまで既に何度もこの家に泊まりにきたことがあった。その過去を思い起こしても、普通に、過ごせていたという実績もあるのだから。
けれど、しかし、だけど。
今日この瞬間からはそんな過去とは180度異なるのだ。
何の運命のいたずらか、『恋愛』という意味でお互いがお互いを好きでいたということがわかってしまったのだから。もう上司と部下ではいられない。
そういう状況が、今まさに繰り広げられているのだった。
おめでとうございます。ロイ・マスタングとエドワード・エルリックはこれで晴れて恋人同士という関係になりました。
そんなフレーズが先ほどからエドワードの脳裏に何度も何度も浮かびはするけれど。とてもではないが「おめでとう」などという気分ではなかったのだ。しかもそれはロイもエドワードもお互いに。

両想いってヤツだったんですよ?オレたちってば。ってことは天下晴れて、恋人同士というものになってしまったということですよね。
それには全く問題がありません。あるどころか予想外の喜びです。けれど問題はあるんです。そう、今夜をどう過ごすかなんです。両想いだったということが判明してしまい……。
判明したら、もう、後見人と部下とかいう関係じゃないではないですか、こ、恋人同士……ってことになるんじゃないですか?オレと大佐は。そしたら今日は……今夜はいわゆる『彼氏の家にお泊り』ってやつじゃないんじゃないんでしょーか?や、そういうつもりで大佐の家に来たんじゃないんです。後見人たる大佐の家に泊まりにきた、というかどっちかって言うと蔵書を漁りにきたつもりだったんです。言い訳なんかじゃなくて、それ本当なんです。なのに、なのに。でも、嬉しくないわけじゃないんです。
両想いなんてそんなこと天地がひっくりかえってもあり得ないって思ってましたから。でも、ありえないことなんてありえないんです。お互いにこの気持ちを秘めていたって判ればそれは望外の喜びです。でも、ですね。
オレはどうしたらいいんですか?
いつもどおりに過ごしていいのでしょうか?ああ、大問題です。
かと言って、恋人同士になったからいきなり一緒のベッドで愛を深めると言うのも、ちょっと、いやかなり微妙です。
いや、そういう行為を否定するものではありません。いつかは、きっと、そうなるでしょう。そうならない方がおかしいでしょう。だって、大佐は大人です。その上タラシです。ムカつくけど百戦錬磨っつー形容なんて大佐の付帯属性って言うもんです。オレが、いくらオレが男でガキだとしても、一応恋愛関係成立の折にはお手手つないでそれだけでってわけにはいかないことくらいわかってます。つか、オレだってはっきり言って思春期です。何をどうしてどうすればいいかなんて、その、キョーミくらいはあるんです。オレだって健全な青少年なんですから。ない方がおかしいでしょう。それにオレは錬金術師です。人体錬成なんてしようとしているからには、その、人体の仕組みなんてのも、一応知識としては知っています。
あれこれその、ぶっちゃけ大人の恋人同士がするような行為は、知ってはいるんです。けれど、告白したばかり、なのです。本当についさっきなんです。恋人という関係がお互いの項目に加わってから、まだ十分も経ってません。気持ちをお互いに告げただけ、なんです。当然キスすらしてません。
……まだ、って言うだけかもしれませんが。
でも、今日はオレは大佐の家に泊まるんです。一緒に一晩過ごすんです。
ほんとーにどうしたらいいんですか?
2011/4/18(Mon) 12:43 ..No.36
11月新刊サンプル・その1


◆「物語の結末はいつも」…完売しました。ありがとうございますv再販予定はありません。


「はっ?」
奇妙な単語を聞いた気がした。それとも自分の耳がオカシクなったのだろうか?エドワードはアルフォンスの言葉を脳内で再現してみた。
兄さんが、大佐にもらった、こんやくゆびわ。
つまり、自分が、ロイ・マスタング大佐に、婚約指輪なんてものをもらったというのだろうか?
そんな記憶はない。
断じてない。
例えば何かの任務のためにこの手の指輪などが必要だった…というのなら百歩譲って理解はできる。大佐がどこぞのオンナノヒトに贈るつもりだったのだが、受け取ってもらえなかったために、路銀にしろとばかりに押しつけられて、という設定ならもっとありえそうだ。いや、たしかに報告書を提出するたびに「つきあおう」だの「結婚しよう」だのという戯言は言われているが、そんなものは当然本気などではなく大佐流の挨拶、もしくは冗談。もっと正確にいえば何らかの嫌がらせに過ぎないとエドワードは認識していた。だからこそ「大佐からの婚約指輪」などと言われても。
あ り え ね え ! 
もしくは 
ふ ざ け ん な ! としか叫べない。
いくら愛する我が弟、といえども言っていい冗談と言って悪い冗談くらいある。馬鹿も休み休み言え、というかむしろ言うな、だ。
大佐がオレによこすものなんて面倒か戯言か軍務か錬金術書と相場が決まっているだろうとエドワードは思うのである。
「あああるううううううううううぅぅぅぅぅ?????」と、眉間にしわを寄せて弟に詰め寄った。アルフォンスは逃げるように足を数歩引いたけれども、自分の言っていることに嘘はないのだとぐっとその場に踏みとどまった。
「に、兄さんは、覚えてないだろうけど……この間ちょっと滑って転んで頭打って……。しばらくの間記憶障害みたいなの起こしてたんだよ…三・四歳くらいの子みたいになっちゃってヒューズさんのところでしばらくお世話になってたんだけど……、覚えてないんだよね?」
内容が内容だけにさすがにしどろもどろになったが、なんとか嘘や冗談ではないということを証明したいアルフォンスは両手をわたわたさせながらも口早に告げた。
「なんか知らないけど、金髪のお姫様には黒髪の王子様が必要で、二人は一生幸せに暮らしたとか言い出して。で、兄さんは大佐を王子様とか呼んで、幸せに暮らすんだから結婚するんだとか結婚には指輪がいるんだとかエリシアちゃんと盛り上がっちゃって。あんまりずうううっと兄さんたちがぎゃあぎゃあ言うから、大佐は多分、仕方なくなって、で、それ買ってきてくれたんだと思うけど……。そんで兄さん嬉しそーにそれ受け取って。ついでに『これでエドはロイのお姫様』とか言って、ええとええとええと……」
エドワードはぴたりと動きを止めた。
『これでエドはロイのお姫様』
そのフレーズはものすごく強烈な何かをエドワードの脳裏に閃かせた。
「覚えてないと思うよ、でもそーゆーことあったんだよーっ!」
ホントなんだよーと絶叫する必死の弟の言葉も、今のエドワードには聞こえない。
――いっしょうしあわせにくらすんだぞ。エドな、ロイのおひめさまなんだから!
どこからともなく湧き上がって来たのはの恐ろしいまでのフレーズだ。
……なんだこれは。
自分の声とおぼしき音声が、ロイのオヒメサマなどと。幻聴のようにというか間違えなく幻聴なのだろうが、あまりの荒唐無稽さに思考は停止しかかった。
なんだこれは。ちょっと待て。
覚えなんかねえぞ。誰が誰のヒメ、だと?
けれどその幻聴は確かに自分自身の音声で。そして次には幻聴にプラスして幻覚までもが現れる。
――んじゃさロイっ!オレ達いつになったらケッコンすんの?
――はっはっは、エドワード。そうだなあ、君がもう少し大人になったらだね。盛大な結婚式を挙げようじゃないか。
――ロイっ!大スキーっ!
それは満面の笑みでロイ・マスタング大佐に抱きついた自分の姿という恐怖映像。
ちょっとまて、なんだこれは。
「だからっ、それ兄さんと大佐の婚約指輪なんだよっ!……ボ、ボクのせいじゃないからね!ボクは無関係だからね……っ!」
保身に走る弟を気にする余裕もない。
おっそろしい情景はまるでフラッシュバックのように次々にエドワードの脳裏に浮かんでは消えた。
――おーじさまとおひめ様は幸せに暮らしましたってこの本にも書いてあるっ!だからロイはエドがしあわせにしてやるからなっ!
高らかに宣言した。意気揚々と、胸まで張った仁王立ちの自分の姿。
――アンタはオレのおーじさまだっ!
……誰が誰の「王子」だというんだ、ちょっとまて。
けれど、確かにそれを言ったのは自分自身の声で。
幻覚に幻聴だったらよかったのに。いや、そう思いたい。思いたいのだが……。エドワードは浮かびあがってきたものが幻覚でも幻聴でもないということを心のどこかで理解していた。
これは……これは……これは、幻なんかじゃない。オレが…オレ自身が言ったことで、してきたことだ。
目眩がした。けれど、それらは事実、過去に実際に起こったことだと錬金術師である自身の脳は冷静に判断を下す。
「……お、」
「うんうん、わかってるよ兄さん覚えてないよね?でも本当にあったことで……」
その「お」で始まる言葉が「覚えてない」ならどんなに良かったか。けれどそうではないのだ。
その「お」で始まる言葉が「思い出した」なのである。
2010/6/23(Wed) 10:14 ..No.34
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