「う゛ぉ゛おいベル!てめぇまた勝手に人の部屋のもの食い散らかしやがってぇ!」

自室に戻るなり、自分の冷蔵庫の食べ物がほとんど床に散らばっているを目の当たりにしたスクアーロは、
ソファーを占領して雑誌を読みながら寝転んでいるベルを怒鳴り付けた。
ベルはスクアーロを振り向きもせず、
床に手を伸ばして牛乳パックの中身を一口喉に流し込む。
因みにこの牛乳もこの部屋の冷蔵庫から物色した物。

「スクアーロの分際で王子に何言ってんの?
 お前の物は俺のものだし、そんなに大事なら名前でも書いとけっての。」
「ガキかてめぇは!俺の部屋に置いてある物は俺の所有物に決まってんだろうが!」

いつもの調子で声を荒げながらベルに近付いていき
ばっと雑誌を奪い取る。
両手が急に空になったベルは
無表情のまま、スクアーロのサイドに垂れている髪を引っ張り、
自分との距離を縮めた。
スクアーロは前のめりになってベルの方へバランスを崩したが
かろうじて左手でソファを掴んで耐えた。
瞳を合わせたまま(ベルは前髪で瞳は見えないが、スクアーロにはちゃんと分かるのだ)二人の時間が刹那に停止する。

「・・・勿論、スクアーロも俺のものだかんな?」
「なっ・・・///」

いきなり、至近距離で普段は絶対言わないような甘い台詞を聞いて
思わず言葉を失って硬直。
ベルはふわっと口元を緩めた。

と――
ゴッ!
「ッ!?」
鈍い音と衝撃がスクアーロの脳に響く。
衝撃を受ける前に手を離されたため後ろに反り返って倒れそうになった。
スクアーロは額を右手で押さえ、天井を仰ぐ形でふらついている。
すると下のソファから馬鹿にしたような独特の笑い声が部屋に響き渡った。

「うしししし!!やっぱお前馬鹿だな!赤くなってやがんの!」
「ベル、てめぇ・・・!」
うっすら涙が浮かんだ目でソファを睨みつけると
自分も少し痛かったのか、左手を額に当てて
もう一方の手はソファに突いて、ベルが起き上がるところが目に映った。
口の端を吊り上げて白い歯を大きく覗かせて満面の笑みを浮かべているため、
スクアーロのいらつきは増すばかり。

「てめぇ悪ふざけも大概にしとけよ・・・。」
「スクアーロがひっかかるからいけないんじゃん。」

言い返せない言葉をさらりと言って
スクアーロが額をぶつけた際に落とした雑誌を拾おうと左手を伸ばしたが
雑誌を掴む直前にその手首がスクアーロによって掴まれたためそれは叶わなかった。
己の右手をベルの左手に絡ませて引き上げ、
反対側は肩を掴んで自分ごとソファに押し倒す。
やられっぱなしのスクアーロの反撃。
押し倒されたベルが口を開く前に、ベルの細くて白い首筋に噛み付くように唇を当てる。

「ちょっ、スクアー・・・ッ!」
ぴりりとした痛みが首に走った。
次に生暖かいものがその部分にねっとりと触れたと思ったら
ベルの視界にスクアーロの満足そうな顔が映った。
さっきよりも顔と顔が近くて
ベルの心臓はドクンと跳ねた。

「いつまでも好き勝手やらせる訳にはいかねぇからな。」

たまには、本来自分が好き勝手される側なんだという事を思い知れ。

スクアーロは立ち上がり
床に置いてあるベルの牛乳の飲み残しを飲み干してゴミ箱に投げ入れた。




「ばかっ!こんな目立つとこに付けんな!」

「目立たねぇと意味ねぇだろぉ。」

                                          *首筋に所有印*



今回はスクベルでした〜。
見事にお題小説のカプばらばらだな;笑
そうなるようにしてるとか、そういうのは一切ないですんですが、はて・・・
小説の方は、うーん。なんか自分成長しないなぁ。
何が何をしています、みたいな単純な文でしか表現できないって悲しい。
2008.5.3 純白華