クラフトマンの金継ぎについて
★実例は上段「写真集1」の「1金継ぎ見本」及び「写真集2」を御覧ください。
 
◆◆◆金継ぎとは◆◆◆
金継ぎ(金繕い、金直しとも言います)とは、壊れた陶磁器を漆で修理し、表面に金粉等を蒔いて仕上げる★漆芸の蒔絵の技術です。
陶磁器の一部分に蒔絵をするようなものです。そのため傷跡は残ります。(★傷跡を景色として見せる修理法で、元のように直す修復ではありません。)
蒔く粉は金粉、プラチナ粉、銀粉、錫(スズ)粉、代用金粉等があり傷跡は金色、銀色に仕上がります。
またものによっては金属粉を蒔かないで、漆で仕上げる方法もあります。この場合傷跡は黒か赤茶色(弁柄色)に仕上がります。
陶磁器を漆の技術で修理するため、陶磁器に漆器が同居しているようなものなので、★強度的には完品に劣ります。(取り扱い注意事項は最下段を参照してください)


◆◆◆修理方法◆◆◆
クラフトマンでは陶磁器の欠け、ひび、割れ等の修理には主に本漆、純金粉等の天然材料と合成漆工材料を用いています。
最初の工程(接着、欠け埋)においては陶磁器用の接着剤やパテを併用し、それ以降の工程は本漆を使用しています。
昔は漆はベストの材料だったのでしょうが、現在は様々な材料が開発され、陶磁器の材質や修理の工程によっては、逆に現代の材料の方がベターな場合もあります。
昔の方法と現代の方法を適材適所で併用していくのも、一つの金継ぎの方法かと思います。



◆◆◆陶磁器を破損してしまったら◆◆◆
★ご自分で接着などなさらずに、そのままの状態で下記に留意してご相談願います。
◆◆欠けたとき
@破片が大きいときはとっておいてください。(無くても大丈夫です)
A破片が小さいときは無くても大丈夫です。
B欠けた部分からヒビが入っているかどうか見てください。そしてそのヒビに爪がかかったり指ではじいて音が悪い場合は、ヒビの修理も必要です。
◆◆ヒビが入ったとき
@ヒビに爪がかかったり指ではじいて音が悪い場合は、修理が必要です。
◆◆割れたとき
@破片はできるだけ多くとっておいてください。(あまり細かい破片は必要ありません)
A本体にヒビが入っていないか見てください。ヒビに爪がかかったり指ではじいて音が悪い場合は、ヒビの修理も必要です。


◆◆◆修理が困難なもの◆◆◆
◆◆直火にかける土鍋など⇒修理部分がもちません。また取っ手がとれた場合など、修理しても熱が加わるため絶対にとれないということはありませんので、もし運んでいる途中でとれたら火傷の危険性もありますので、修理はできません。
◆◆水がめのように大きなもの⇒漆を乾かす室に入りません。
(おおむね40×40×40cmが限度です)
◆◆マイセンなどの複雑で破損しやすい人形等⇒輸送中に破損する可能性があります。
◆◆洋食器等で金彩部分に傷がある場合⇒修理の工程でやすり等を使用しますので、傷のまわりの金彩部分に擦り傷を全くつけないで修理することは困難です。(★若干の擦り傷がつきますが修理は可能です。)
◆◆「磁器」のカップで「ひび」の入ったもの⇒ひびの場合、漆等を滲み込ませますが、完全に内部まで滲み込まないことと、磁器は漆の接着面への食い込みが悪いので、修理しても使用による熱い冷たいの繰り返しにより、修理部分がまたひびわれてしまう可能性があります。
◆◆割れを接着剤等でつけてしまったもの⇒剥がして接着面の接着剤を取り除くことは、再破損の危険もあり非常に困難です。
(★ただし接着がしっかりしていれば、剥がさないでそのまま金継ぎすることも可能です。)
◆◆ジグソーパズルのようにばらばらなもの⇒金額が高くなりすぎ現実的でありません。ものにもよりますが新しく買った方がはるかに安くなります⇒飾っておくだけなら、樹脂系接着剤で接着するだけという安価な方法もあります。
◆◆急須やカップの取っ手で接着面積の小さいもの⇒修理は可能なのですが、絶対にとれないということはありませんので、もし熱いお湯が入っているときにとれた場合、火傷の危険性があります。
(★見た目は悪くなりますが、太く修理する方法もあります)
◆◆あまりに高額なもの
◆◆その他はお問い合わせの時に判断致します。


◆◆◆ご依頼の流れ◆◆◆
◆◆@⇒先ず電話、FAX、メールフォーム等でお問い合わせください。
電話&FAX:0246−21−7754
お問い合わせの時に修理したいものの名称、大きさ、材質(陶器か磁器か)、表面の質(施釉か無釉か)、金彩等の上絵の有無、傷の大きさ(欠け:縦と横と深さ、ひび:長さ、割れ:割れの長さ「破片が多い場合はセロテープ等で仮止めして長さを測ってみてください」)をお聞きして(できればFAXで略図に傷の大きさを書いてお問い合わせいただければ助かります)おおよその見積り額をその時点か後日お知らせ致します。
◆◆A⇒おおよその見積り額でよろしければ、しっかりと梱包して宅急便等でお送りください。ヒビなどの新たな傷が見つかり、大きく見積もり額が変わる場合は、お客様にお知らせしてOKを頂いてから修理に入ります。
(割れたものは★接着しないで破片をできるだけ集めてお送りください。細かい破片は無くても大丈夫です。)
送り先住所:970−8026 福島県いわき市平字15−8 クラフトマン
◆◆B⇒修理が終わりしだいメール等でお知らせし★送料着払いにてお送り致します。
◆◆C⇒到着しましたら修理品をご確認いただき、同封の郵便振替にて修理代金のお振込みをお願い致します。


◆◆◆修理金額の目安について◆◆◆
★思い出のある大切なもの以外で、壊れたものが現在販売しているものであれば、あまり大きく壊れた場合は費用がかなり高額になりますので、新しく購入されることをお勧めします。
★おおむねの目安です。詳細金額は実物を拝見してからお見積り致します。
◆◆小さな欠け(縦×横=0.5cm×1cmまで):一ヶ所当たり税込み
●漆仕上げ    :800円  黒色か弁柄色(赤茶色)
●錫仕上げ    :1000円 銀色(錆びません)
●代用金仕上げ  :1100円 金色(錆びます)
●本銀仕上げ   :1200円 銀色(錆びます)
●23金仕上げ  :1700円 金色(錆びません)
●プラチナ仕上げ :2500円 銀色(錆びません)
★同じ品物で欠けが一ヶ所以上ある場合、二ヶ所目からは上記金額の60%になります。
★色絵の場合は金色、染付の場合は銀色をお勧めしています。
★錫(スズ)とは錫器に使われている錆びない金属で、水を浄化しお酒をまろやかにするといわれています。錫が体に害があるという説がありますが、それは環境ホルモンの有機スズ(スズと炭素の化合物)のことであり、この錫とは別の物です。(錫は無害だから錫器として生産販売されているのです。)
◆◆大きな欠け:お問い合わせ時に別途概算見積り致します。
◆◆ひびや割れ:お問い合わせ時に別途概算見積り致します。
  (長さ×1cm当たり単価で計算します:単価は長くなるほど安くなる減算単価になっています。)
    例:長さ20cmで23金仕上げの場合=8730円
    ★単価は8730÷20=436円/1cmにはなりません。20cm以下は高く、20cm以上は安くなります。
  (欠け同様に「漆仕上げ」、「各種金属粉仕上げ」の見積りが可能です。
★申し訳ございませんが、往復の送料はお客様負担にてお願いしております。
★お客様にご負担いただく費用は、修理代金+往復送料+振込手数料となります。


◆◆◆修理期間について◆◆◆
小さな欠け(縦×横=0.5cm×1cmまで)1ヶ所で14日以上となります。ただし冬期間は漆の乾きと硬化が遅いので、30日以上とお考え下さい。
漆を使った仕事は次ぎの工程に入るまでに、乾燥や硬化のためのねかし期間が長いほど良いので、時間がかかってしまうのです。
何事においてもそうですが、あせって良い結果が出たためしはあまりないと思います。時をゆっくりと穏やかにお待ちいただけると幸いです。


◆◆◆金継ぎ陶磁器取り扱い注意事項◆◆◆
★修理品のため完品と同じ扱いは出来ませんので、ご諒承願います。
蒔絵の技術で修理してありますので、漆器と同じように丁寧に扱っていただけると、修理部分が長持ちします。
以下のことに注意しながらご使用願います。

1:柔らかいスポンジ等で、クレンザーの入っていない洗剤で洗い、硬いスポンジやたわしでは洗わないでください。(金が擦り減って取れてしまいます)

2:電子レンジ、オーブン、食器洗い乾燥機、冷凍庫等の温度変化の激しいものには入れないでください。(陶磁器部分と修理部分は膨張率や収縮率が違うので、壊れる可能性があります)

3:長時間、水やお湯につけたままにしないでください。また、漂白剤には極力入れないでください。入れる場合は薄めの濃度で短時間にしてください。

4:業務用等の使用頻度の高いものとか、縁や底などの擦れやすい部分は、使用により他の部分より早く表面の金が擦り減ってしまいますが、ご諒承願います。

汚れず壊れない物など無いように、器も変化し育っていきます。物を大切にする心とともに、修理した傷を、その証として景色としてお楽しみいただければ幸いです。