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夢は見るものだ。
昔、俺の友達は言った。
だけど、俺は追いかけた。
自分の夢を・・・
頑張ったらいつかは届くと信じてた。
今はいない両親も俺の夢を応援してくれた。
そのために俺はフリーターをしながらも夢のために頑張った。
いつかは届く夢の為に・・・
だが、それは所詮夢だった。
夢とは見るもの。
昔、友達が言った意味を今やっと理解できた。
両親が死んで一年経つ。
今までは夢の為に使ってきたお金も生活のためだけに使わなければいけない。
両親が死んでからやっと気付いた。
自分一人で生きていくのはこんなにも困難なのだと・・・
夢の為に使う金などあるわけも無く俺は毎日ただ生きていくだけで精一杯だ。
当然、こんな生活は俺が思い描いていたモノとは違う。
リアル、それは夢とは全く逆の世界。
俺は今、そんなリアルの中にいる。

だけど、それも今日まで・・・
俺はリアルを終わらせる方法を知っている。
・・・それは、俺の世界を終わらせる事。

そして、俺はビルの屋上にいる。
無理な都市化計画に財政がついていけずに工事が途中で打ち切りになったビル。
俺はこの場所が好きだ。
町を見渡せるこの場所であびる風が何より心地良い。
手すりから下を見る。
・・・高い。
こんな所から落ちたらどうなるかなんて用意に想像が付く。
だけど、覚悟はとうに出来ている。
ただ、生きているだけで絶望しか見えないこんな世界に生きていても意味が無い。

俺は今日ここで・・・・・死ぬ。

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