4:告白
それから、彼女は自分からあの日の夜の事を話しはじめた。こちらの気持ちを察するように。
自分には好きな人がいたこと。
その人は自分以外の人が好きだったこと。
でも自分は気持ちを告げることもなく友達でいたこと。
自分の好きなその人の想いは成就して。
連れてきた「彼女」は、自分の「友達」だったこと。
…途中まで話して声をつまらせた。
「………。」
「………。」
「…あのさ。」
沈黙を破ったのは俺。
「……?」
不思議そうな顔の彼女。
「話したくないなら、
別に無理に話さなくてもいいんじゃないの?」
「………。」
再びの沈黙を破る。
「しかも、俺なんかにさ。」
またしばらく続いた沈黙。
その沈黙を破ったのは今度は彼女だった。
「そうですね。私ったら、すみません。」
赤くなる彼女の顔。
「まぁ。別に構わないけど。」
そういう俺に傘を渡し、頭を下げて。
帰る間際に
「今度、お邪魔してもいいですか。」と。
「別に買わないけど。」
俺は愛想なく答える。