▼4:告白
それから、彼女は自分からあの日の夜の事を話しはじめた。

こちらの気持ちを察するように。

自分には好きな人がいたこと。 
その人は自分以外の人が好きだったこと。
でも自分は気持ちを告げることもなく友達でいたこと。
自分の好きなその人の想いは成就して。
連れてきた「彼女」は、自分の「友達」だったこと。
…途中まで話して声をつまらせた。

「………。」

「………。」

「…あのさ。」

沈黙を破ったのは俺。

「……?」

不思議そうな顔の彼女。

「話したくないなら、
 別に無理に話さなくてもいいんじゃないの?」

「………。」

再びの沈黙を破る。

「しかも、俺なんかにさ。」

またしばらく続いた沈黙。
その沈黙を破ったのは今度は彼女だった。

「そうですね。私ったら、すみません。」

赤くなる彼女の顔。

「まぁ。別に構わないけど。」

そういう俺に傘を渡し、頭を下げて。
帰る間際に
「今度、お邪魔してもいいですか。」と。

「別に買わないけど。」

俺は愛想なく答える。
スポンサード リンク