▼短歌/弟ピアノ

今は無き初めて弾いたあの音思う 1人廊下で聞きつつピアノ


寒くても凍えるだけの価値はある泣いた1月笑った2月


可愛くて何かと言うと可愛くて ただそれだけで買ったものたち


銀色の彼がいないと寂しくて茶色の君がふくれる財布


少しだけそう言いながら私だけ 机のおやつ減るのはいくつ


空を見る今日の私は魚色陸に憧れ泳げぬ魚の


思い出の旅に出る程の過去も無く失くしたものは小さな欠片


熱の無い画面の向こうの君だけど私の手には確かな気持ち


やめなさいそう急かされて操作する どうして君は今だけ素直


弟のゲーム画面を眺めつつ「その才能を他にも活かせ」


ビンの中 深紅の粒がお留守番 いつも全部は飲めない薬


することも全部今日には終わらせてなのにどうして明日も同じ
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