▼滲んだ世界

滲んだ世界は濡れたままだった

雨はずっと降ったまま

ぽつりポツリという音が

染み込んで僕の中も土砂降りだった

“誰か傘を貸してくれないか…”

そう思いながら口には出さなかった

ずっと惨めに立ちつくしていた


滲んだ世界に雨を降らせた

泣き虫をそうやって誤魔化した

降り止まない涙は全部

誰かのせいにした


傘なんか拾ったことも無かった

渡されたって使い方なんか分からなかった

開けない傘は投げ捨てた

ポキンと折れた

“誰も使い方を教えてくれないの…”

ますます広がる悪天候

きっと明日も雨だった


滲んだ世界は滲んだままにした

そっちの方がラクだった

悲しい顔して誰かの気を引こうとした

苦しんでる僕を人々は見逃した

そうやってやっぱり誰かのせいにした

“僕はいつになれば歩き出せるの…”

雨宿りする屋根の下

足元から染み込む水

ぽつぽつ水滴

頭に当たった

冷たかった


きっと明日も雨だった

明後日だって晴れはしないんだ

僕の心は土砂降りだった

傘なんか使おうともしなかった



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