▼MIYAKO × FUTAGO
「あ」「あ」「げ」

久々の休日をもらい、風和と時和は二人で、
千姫の誕生日プレゼントを買いに街へ繰り出した。
千姫の好きそうな和風の雑貨屋さんを見つけた二人はそこに入り、
何かいいものはないかと物色していた。

「いやー、まさかここでキミらに出会うとはねーっ」
「ホントに、偶然ですねっ京さん。」
「・・・。」
「いやー、相変わらず可愛いねー、風和君は!」
「あはは、冗談が上手ですね京さんは」
「・・・・・・。」
「いやいやー、冗談なんかじゃないって!どう?ウチとこの後一杯お茶でも?」
「い・い・か・げ・ん・に・・・しろー!!!!」
「うわあっ。なんだい弟君まったくキミは可愛くないねえ」
「当たり前だ!お前なんかに可愛い言われても嬉しくもなんとも無いわこのオカマ野郎!」
「ぶーまったく誰に似たんだろうねー、弟君わー。京ちゃんさーみしーっ」
「気持ち悪いわ!本当に姉さんはこんなやつのどこがいいんだかっ」
「時和っ言いすぎだよ!「いいんだ。風和君」でも!」
「弟君。千姫が俺を選んだ理由はな・・・この美貌に惚れてだね!「はいはい」
「さ、さすが弟…慣れてるな☆」
「はあ、で、あんたはここで何してたんだよ」
「んー?いやー、あと少しでいとしの千姫たんの誕生日ジャン?」
「あ、プレゼント買いにきたんですね」
「ぴんぽんせいかーい。でもいいのがなくってねえ」
「まあお前なんかに姉さんの欲しいものが手に入れられるかよ」
「またそういうことを言う。ごめんなさい、京さん」
「いやいやー、いいんだよー☆あ、そういえば二人は何買ったのー?」
「内緒だよ。お前なんかに教えてやるかよっ」
「ふふ、これですよ」「あ、ちょっ!」
「なにこれ?んー、ガラス玉?きれいだねえ」
「ビー球って言うんです。僕達の故郷のもので懐かしくて買っちゃいました」
「姉さんしばらく故郷に帰ってないからなぁ。きっと喜ぶぜ」

そういって二人が見せてくれたのは、
雑貨屋さんで綺麗にラッピングされた数個のビー球だった。
色々な色が光に反射して輝く球体が綺麗なものだった。
(これが…千姫の故郷で生まれたものかあ)
そう思うと、その小さな光が大きく感じられた。

「あ、時和っもうこんな時間だよ!任務の準備もあるし、帰らなきゃ!」
「あ、そうだな。早くしないと」
「「千姫姉さんにおこられるっ」」
「じゃあ、京さんさようならっ!」
「じゃあな!あ、おい。これ受け取っとけ!」
「え、ちょなにこれ!」
「いーから持っとけ!」
「「じゃ!」」
「・・・さすがあの方達の子供というか。千姫の弟達だな」

去り際に時和に押し付けられたものを確認しようと、
中を見てみると達筆な字で書かれたメモに
【姉さんの欲しいものは、お前にしかあげられなくて、形の無いものだ】
と書かれていて、もう一つ手書きの地図が入っていて、
その隅には『ブライダルキャンペーン』と小さく書かれていた

「はは、素直じゃないのもそっくりか。」

そうつぶやくと京は、誕生日プレゼントを用意すべく、
すっかり頭に入った地図を頼りに足取り軽く去っていった。
着いたのは、結婚式も挙げられそうなおしゃれなレストラン。

その一年後、同じ場所に三人の幸せそうな家族が訪れるのは、また別の話
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