▼MIYAKO × SENKI

千姫はクスリの開発や、怪我人の手当てなどの、
研究医療部に所属している。
民間も利用できる機関なのをいいことにたまにこうやって
京も遊びに来るのだ。

「まったく、今度はどこで大暴れしてきたのよ」
「あー、失礼だなー。この傷はケンカなんかじゃないぞー」
「じゃあ何よ」
「道端を歩いていたら妊婦さんがいてその人賊に追われていたらし「はいはい」
「あー、これからが盛り上がるのに!」
「あんたってホントつかめないわよね。ふらーっとどこかに消えて、
 出てきたと思ったらいつも大怪我して帰ってくるなんて。」
「へへー、影のある男もかっこいいしょ?」
「ばーか。そのくせいっつもへらへら平気そうな顔して帰ってくるんだから」
「うちは不死身だからねぇ!だから千姫たんの元に必ず帰ってくるしょ?」
「ホント、しつこいぐらいにね」
「まあそんなところに惚れたんでしょ?」
「…っ」
「いだだだだだだだしみるしみるしみるいだだだ痛い千姫たん!」
「そんな減らず口叩けなくしてるわ・・・!」
「照れ隠しが痛いぜハニー…いだだだだだだだ!!!」
「まったく、はい。終わったわよ。」
「おー、相変わらず見事だねえ。ありがとさん」
「もうケガすんじゃないわよ…って言っても聞かないんでしょうねどうせ」
「あははー、まあ待っててくれる人がいるのを肝に銘じておきますよ」
「そうしなさい。じゃあ、私は仕事に戻るわ」
「あれー?もう行っちゃうのー?」
「あんたみたいに暇じゃないのよ。じゃあね」
「あ、千姫たん。」
「何よ」
「はいこれお土産♪千姫たんに似合いそうだったから」
「かんざしじゃない。綺麗な装飾ね…」
「職人さんが作ってるんだってー」
「ありがとう。使わせてもらうわ」
「うんうん。次はそれつけて迎えてねー」
「はいはい。じゃあ今度こそじゃあね」
「うん、ばいばーい」

そういって京はその場を立ち去った。

「まったく人の趣味を理解してるのね。」
京の買ってきたかんざしは黒に赤い彼岸花が綺麗な装飾の多い簪だった。
「あら?何か彫ってある・・・」

『 I love you . forever !!!』

「・・・あいつらしいわね」

そうつぶやくと、簪を大切そうに握り締めて短く切られた黒髪をかきあげて、
千姫もその場を立ち去った。
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