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 「・・・まぁ。あなたって結構かわいいのね。」

 ベラがちょっと驚いたように目を見張る。視線の先にはデスピーナ。小柄な体をきわどい衣裳が包み、意外に豊満な胸の谷間や露わになった肩から、つややかな浅黒い肌がのぞいている。どこからどうみても、ジプシーの踊り子にしかみえない。 





 「大丈夫よ姉様、ヴィスヴィオ火山が噴火したって、そんなことにはならないわ」

 そう自信たっぷりに笑って、軽やかに二人は出て行った。

 そうやってデスピーナに踊らされた結果が、あの大惨事だったんじゃない・・・というリジーの言葉は、しかし発せられることはなかった。編み物の手をとめて幾度目かの溜息をつき、窓を見上げた。
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