▼三匹のヤギとがらがらどん
あるところに、三匹の子ヤギがいました。上から順に、お姉さん、お兄さん、弟。三匹とも、とてもなかのよい姉弟でした。

ある時、三匹は森の中を歩いていました。山の上にいるおじいさんと、そこで飼っている馬に会うためです。

おじいさんのところに行くためには、途中で吊り橋を渡らなければなりません。この下には大きな竜が住んでいて、ちかづくものを何でもバクリと食べてしまいます。そろりそろりと渡らなければなりません。

まずはしっかりもののお姉さんが、弟達によくよく言い含めて、先に渡り始めました。次にお兄さん。最後に弟が渡りはじめました。しかし弟は馬に会えることが楽しみで、うっかり吊り橋を踏みはずしてしまいました。

バキ。バキン。
ガラガラガラガラッ!

橋の下から一気に竜が出て来て、宙ぶらりんになった弟を、丸呑みにしようと迫りました。

橋を渡りきったお姉さんはあわてて助けようとしたが、とても間に合いません。

その時真ん中のお兄さんが、竜の前にかけ戻り、いいました。

「たべるんなら、
    僕をたべなよ」


☆☆☆

真響はお昼寝から目を覚ました。夏の午後で、少し涼しなった風がきもちいい。ひぐらしの声が遠くできこえていた。

首をめぐらすと、めずらしく真夏が先に起きていた。ぼうぜんと目を見開いたと思ったら、みるみる涙がたまっていくのでたまげた。

「どうしたの?」
「真澄が…」

はじめて真澄をみた。
やけにキレイに眠ってみえる。
Tシャツの腕を触ってみた。

冷たくなっていた。
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