*幸せ世界(2007年ベル誕生日)
去年の俺は
相変わらず暗殺という闇の中にいて

まさか今日、こんなにぽかぽかした誕生日を迎えれるなんて
これっぽっちも予想していなかったろうね


*幸せ世界*


「ベル、誕生日おめでとう!」

時は12月22日、夜の十時頃。
場所は綱吉の寝室。
祝福の言葉と無邪気な笑顔の綱吉から渡された物は
闇のように黒い薄地の長いマフラーだった。

くるくるっとそれを首に巻くと
ふんわりとした感触が気持良くて、口元まで顔を埋める。

「やっわらかー。綱吉みたいじゃん。」
「あはは、何それ。」

苦笑気味に言う綱吉の細い腰を右手で引き寄せ
左手は顔を上に向かせて
無防備な額にそっと口付けた。

「grazie・・・サンキュ、綱吉。」

互いの瞳に映る顔が見えるくらいの至近距離で囁くように言えば、君はほんのり頬を赤らめて
それが堪らなく愛しい。

それの照れ隠しか
綱吉は俺に抱きついた。

「喜んでもらえて良かったよ。」

ふんわりとした頭を撫でれば
柔らかい頬擦りをしてくれて。
愛されていることを実感しながら、もう一度ギュッと抱き締める。

そして、自分の首に巻いた綱吉からの贈り物をほどき
更にそれを二人の首に巻き付けて
俺と綱吉を完全にぴったりと結び付けた。

「どうしたの?」
「長いマフラーの定番っしょ。
 ねぇ綱吉。今日は綱吉ん家泊まっていい?一緒に綱吉のベッドで寝よ?」

こうやって甘えると
いつも綱吉は断れなくて
しょうがないなぁって言って俺の頼みを聞いてくれる。

「そんな言い方反則だよベル・・・。
 しょうがないなぁ、今日は特別な日だもんね。いいよ。」
「優しいねー綱吉。そうと決まれば早速ベッドイン♪」

マフラーで繋がったまま
俺はひょいと綱吉を持ち上げて
そのままベッドに入る。

その際にほどけかけたマフラーを、しっかり二人に巻き直して
向かい合うようにして横になった。

「このまま寝るの?」
眠そうに目を擦り始めた綱吉が問いかける。

「いいじゃん。今日くらい。」
「うん・・・それもそうだね・・・ごめん、もう俺眠い、や・・」

俺が何か言う前に、綱吉は俺に抱きついてきて
一人静かに夢の中へ落ちていった。

「綱吉寝付き良すぎだし。そこも可愛いけど。」

温かに紅潮しているぷっくらとした頬をぷにぷにとつつきながらそんなことを呟いて
健気に腕を俺の体に巻き付けてくる小さな身体を抱き締めた。

そしていつの間にか
俺も瞼を閉じていた。



綱吉に出会う前は
この日も血に酔うことしかしていなかったであろう俺の人生

それだけが快感で、快楽で

そんな暗い路から
この温かい感情を導いてくれたのは紛れもなく君で

そんな君が今
俺の腕の中で幸せそうに眠っている

心も体も満たされていて
とてもとても 温かくて
あぁ
なんて自分は幸せなんだろう


end



ベル誕生日話です。
何が書きたかったかって二人で一つのマフラーぐるぐるですよ(笑)
でもなんか誕生日なのにお互いむぎゅーばっかりで唇にキスしてない・・・!
いや最初に書いてたやつはしてたんですけどね!
綱吉から!
でも書いてて段々無駄に長くなってぐだぐだになってきたので短くまとめたら
こんなことに・・・
なんていうかもう焦って書いた感丸出しですみませんでした(土下座)

                                      2007.12.22 純白華
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