*Notte Santa(2007年クリスマス)

*Notte Santa*


スクアーロは今
長期任務に出ていてこの国を離れている。

ベルは12月の聖夜に、1人街を歩いていた。
街は夜にも関わらずイルミネーションの輝きは増すばかりで
それに照らされた人々はこれ以上ないような幸せな笑みを浮かべている。

ああ、なんで俺外に出ちゃったんだろ・・・

自分を馬鹿だと思いつつも
体は勝手に進んでいく。
気が付けば
この通り1番の巨大なクリスマスツリーの前で足を止め
大きすぎるそれを見上げていた。

ゆっくりベルから吐き出された溜め息のような吐息は
外気に触れて刹那に白くその姿を表し
儚げに消えていった。

予定じゃあと3日あるだろ?
無理に早く任務を終わらせようとすればかなりの危険がある。
あぁもう、なんでなんで
こんな時に・・・

「・・・スクアーロの馬鹿。」

・・・ふわっ。
突然後ろから
誰かが今まで巻いていたような暖かみが残っているマフラーが巻かれた。

「誰が馬鹿だぁ・・・?」

そして頭から降りかかってきた聞きなれた声。
まさか・・・声の方向に振り返ると
視界に広がったのは
雪のように純白で
雪の何倍も温かい
綺麗な銀髪をした、

「スク、アーロ・・・」

いつもと変わらない目つきの悪い顔。

「お前任務どうしたんだよ。あと3日あっただろ?」

驚いたのを悟られないように、声のトーンを確かめながら問いかける。
精一杯の強がり。

「終わらしてきた。まだ報告はしてないがなぁ。」

報告してないってなんだよ?
アジトに帰ってボスんとこ行ってないわけ?

「それにしてもここは人がうじゃうじゃと・・。
 まだいるかぁ?」

「・・・帰る」

その応えを聞いて
スクアーロはぶっきらぼうにベルの手を握って歩き出した。

「お前部屋にいなかったから心配したんだぜぇ。」

は?
なにアジト帰ったの?
なのにボスんとこ行ってないって・・・
・・じゃぁ、1番に、俺の部屋に?

「・・・ばーか。」
「あ゛?」

前を歩いていたスクアーロが振り向く。

「スクアーロのくせに。」

ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、ドキってしちゃったじゃん。

いつもは、絶対しないけど、
握られている手を、ほんの少しだけ、握り返してみた。

そして口の端をつり上げる。

「クリスマスプレゼントはないの?」
「・・・」

黙ったと思ったら急に立ち止まって
腕を強く引かれた。
次の瞬間には反射的に目を閉じたから視界が真っ暗になって、
口には、寒さで冷えた唇が重ねられた感触。
顎には、あいつの手袋の冷たさ。

唇の感触は、軽く触れただけで直ぐに離れた。

「俺の部屋に帰ったらな。」

そう一言だけ言うと
また俺の手を引いて歩き始めた。


路上でキスされたとか
そんなこと、もうどうでもよくて

ただ、今年の聖夜はこいつと過ごすということを感じながら
手を引かれるままに歩いた。

マフラーにそっと、顔を埋める。

いつの間にか世界は
天から贈り物のように降ってきた白銀によって白く染まり始めていた。



end



うおぉおおおスクベル小説久々だ・・・!
タイトルはイタリア語です。
意味は「聖夜」。
THE★そのまんまw(蹴
スクアーロ無理して任務早く終わらせてきたからどこかに傷負ってます。
この話の続きがあるとすれば
スクアーロの部屋であれれ〜な最中にその傷をベルが見つけて・・・みたいな感じですかね!(笑顔←
                                                     2007.12.24 純白華
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