ロッドも色々作り小物以外はどんな釣も出来る様に成ったので、今度はハンティング用の自作ナイフに挑戦しました。
上の皮剥き用は刀鍛冶の所に行き自分で鍛造しました。可成り大変な作業でしたが、美しいダマスカス模様の鋭い切れ味物が出来ました。
只、宝石をあしらったので使うのがもったいないし、青鋼は良く錆びるので先の丸い錆びに強いスキナーを次に作ります。
中段の二本。同じく鍛造の白鋼と青鋼で猪の差し止め兼、枝打ち剣鉈です。
四つ足ハンターに一番必要なのは剣鉈タイプの大型ですが私の場合サイズは全て刃渡り8寸(24cm)に統一しています。
長さは私がライフルハンターの為か殆ど獲物の即死が多く猪に刃物で留めをさす事はかれこれ25年間ありませんでした。
まあ、大猪に30-06を7発撃って皆から頭の形が分らないと冷やかされた事はありましたが〜(笑)
その猪も強者でしたが、更に150Kgを越える獣神クラスだと心臓と肺の半分が砕け散っていても襲い掛って来る事があります。事実、一昨年亡くなった親方は数年前に心臓と片肺のない獣神と数分間格闘し大怪我をしました。超近接戦闘の為、銃は使えず最終的に剣鉈で留めを刺し本人は気絶していましたが一命は取り留めました。と、そう言う事ももしかしたら有るかも知れないという理由で長くしたいのですが、余り長いと車の運転や山歩きに支障を来します。その為自分の腿の長さに合わせると24センチの刃渡りが一番使い易い事を経験から知っていますので、全て剣鉈類の刃渡長は24センチと決めています。
尚、この二本の剣鉈、日立安来製白・青の高炭素鍛造鋼は良く切れるのですが、如何せん錆びやすく、写真の様な鏡面仕上げにしないととても猟場で使えません。
そこで、錆びずに良く切れ粘りけもあって刃が欠けない物が欲しくなり、調べましたがそんな鋼材は存在しませんでした。近い物だとやはり日本刀で中でも室町時代以前の古刀が理想です。海外ではウーツ鋼の本物ダマスカス剣ですが、どちらも現代技術では再現も製造法すら分からなかった。と言うのが最新調査の結論です。
と言う事で、一番下の大型ナイフは錆びずに良く切れ、美しく、をコンセプトに猟場で使う最良と呼べるナイフ鋼材を調べ尽くして選択したS30Vです。S30VはUSAクルーシブル社が開発した比較的新しい粉末スティール鋼材です。
実際仕上げてみたところ、硬く高炭素だった為か、鏡面加工がとても大変で通常鋼の3倍磨いても鏡面に成りません。
実際販売されているカスタム系ナイフでもこの鋼材で鏡面にしたものは見かけません。全てヘアーライン仕上げです。尤も錆びに強いので鏡面にしなくても良いという結論らしいのですが、私はカスタムで鏡面以外はなんだかなあ〜と思って苦労してミラー仕上げに近づけました。
しかし、驚いたのはこの切れ味です。切れ味はカスタムナイフ定番の高級鋼材ATS-34より劣るとの見解でしたが、もの凄い切れ味でこれで髭が剃れる位切れます。ブレード厚が5.5mmも或る事を考慮すると、この切れ味は驚異です。
また、S30Vは靱性もそこそこ高く理想的な剣鉈タイプのハンティングナイフと成りました。