▼
「うひょぉ〜!寒いと思ったら雪だぁ〜」

空が暗くなる前の夕方
秘密基地からの帰り道

真っ白な雪が降り出したのだ

肩にねずっちょとわるっちょを乗せたシュウが
足を止めて空を仰ぎながら言う

「やっぱ雪っていいよなぁ〜」

「ガガァ・・」

「ンググ・・」

ねずっちょとわるっちょもシュウの言葉に相槌をうつ

ちらちらと舞い降りる雪に見とれていると

「ヘブチ!!」
シュウがくしゃみをした

「ンガ!」
「ググ!!」

「さっぶぅ〜・・・」
シュウは鼻水を出しながら
両手で体を抱きしめるようにして
ブルルッと震える

雪に見とれてすっかり忘れていたが
シュウは相変わらず半そで半ズボン
手袋とマフラーはしているが
それだけしか着てい無いのだ

「ガ!!ンガア!!ガガ!!」

「グ!!ググゥ!!グッググ!!」

2匹が急に暴れだす

「何だよ〜、何言ってんのかさっぱり解んねーよ」
鼻をズズッとすすりながらシュウは苦笑いをする

「ガー!!ガガー!!ガ!!」

「フググ!!ググー!!」

あからさまに2匹がタリスポットに指を指して
「リボーンしろ!」と言っているのだが
シュウにはまったく通じない

『だああああー!何で言葉が通じねえんだ!
リボーンしろ!って言ってんだ!
解れ!それくらい!!』

ねずっちょが言う

『早く帰らないと風のサーガが風邪を引いてしまいます
私達が付いていながら風のサーガに風邪を引かせてしまったら
パパさんやママさんに申し訳が・・・』

わるっちょも言う

「お!そうか!お前達寒いんだな?
家に早く帰りたいんだろ?」

ぽんっと思いついたように手を叩き
シュウがにかっと親指を立てて笑う

自分達が寒いというのは全然違う訳だが
早く帰りたいという事は通じたようだ

『早く帰りたいと言うことが解ったなら
とっとと俺たちをリボーンし・・・・』
ねずっちょが言いかけた時

ガシッと2匹はシュウの両手に掴まれる

「ガ?」「ング?」
驚く2匹

「お前らちっこいけどあったかいなぁ〜
カイロみて〜だ」
シュウは上機嫌で言う

カイロって・・・・

そして2匹はシュウの首に巻かれている
マフラーの中に入れられる

マフラーを軽くポンポンっと叩き
「よし!これで皆あったかだな
早く帰らないとお前達が風邪引いちまうからな
じゃあいくぞー」
シュウが雪の中キックボードで走り出す

マフラーの中は暖かく心地よい

『自分より俺たちのことかよ・・・』

『風のサーガらしいと言えばらしいですね・・・』

2匹は苦笑する
その優しさが
その温もりが嬉しいと感じてしまう




・・・・・

ふわり・・・暖かな風が吹いた

「お?何だ?急にあったかくなったぞ?」
シュウはキックボードで走りながら不思議そうに言う

雪の降る中の帰り道
シュウの周りの風だけは
何故か暖かかった


おしまい