▼クローバー
晴天の日曜日
今日は本来クラブ活動の日だったが
メグがご両親の家へ
ディーノがピアノの発表会と
予定が重なり無くなったため
シュウは2竜と共にセントラルパークへ来ていた

「んー、ここの風はいいね〜
秘密基地と同じくらい気持ちいい」
シュウが吹き抜ける風を肌で感じながら言う

「ああ、そうだな」
「ですね」
2竜も頷く

シュウは草むらに寝転がり
空を仰ぐ
「このまま寝ちまいそうだな〜・・・」
そう呟きながらふっと自分の手元の辺りを見ると
クローバーが群生していることに気がついた

「お!クローバーじゃんv」
そう言って起き上がりクローバーを見つめる

「・・・・三葉ばっかだなぁ、四葉ないかな〜?」

「四葉ですか?」

「うん、四葉を見つけると『願い事が叶う』って言うんだぜ?」
そう言ってシュウは四葉のクローバーを探す

「願い事・・・?
サーガ、四葉のクローバーは願い事を叶えるものではなくて・・・」
ランシーンが言いかけたとき

「でかっちょ!ワル夫!ぼーっと見てないで一緒に探すぞ!」と
シュウが元気に声をかけて手招きする

「え!!なんで俺まで?」

「聞いてない・・・ですね(苦笑)」

シロンは文句を言いつつ
ランシーンは苦笑いを浮かべつつ
やっぱりシュウと一緒に四葉のクローバーを探す

セントラルパークの小さなスペースの草むらで
小さな少年と大きな2体の竜がよつんばいになり何かを探す姿は
傍から見てると滑稽にも見えるが微笑ましくもあった

しばらくすると
「見つけたぞ、これでいいのか?」
シロンがその大きな手で
器用に小さな四葉のクローバーをつまみシュウに向ける

「おお!サンキューvvさすがでかっちょ」
シュウは喜んでその四つ葉のクローバーを受け取る

「何がいいかなぁ〜」
四葉のクローバーを手に願い事を考えるシュウ

「いえ、ですから、四葉のクローバーは願いを叶えるものではなくて・・・」
ランシーンが再び言おうとすると

「でかっちょ!ワル夫!お前達なら何を願う?」と聞いてくる

「え?俺達??」

「・・・・やっぱり聞いてないですね(笑)」

「うん、何を願う?」
シュウはニコニコと笑いながら2竜を見つめる

「う〜ん、そうだなぁ・・・俺は」とシロンが言いかけると

「俺の願い事はねぇ〜」とシュウが話しだす

「なんだよ、結局自分が言うのかよ!」
シロンの突込みを受けつつもシュウは続ける

「俺の願いは
『お前達とずっと一緒に居られますように』かなぁ」

「「・・・・・・・・」」

2竜はシュウの言葉を聞き
少し照れ笑いを浮かべながら

「なんだ・・・結局考えてる事は・・・」

「みんな同じという事ですが・・・」と呟く


「サーガ、四葉のクローバーの四枚の葉にはそれぞれ意味があるのを知っていますか?」
ランシーンがシュウに聞いてみる

「そうなの?」

「ええ、
四葉のクローバーのそれぞれの葉には

『faith・・・・・誠実』
『hope・・・・・希望』
『love・・・・・愛』
『lucky・・・・・幸運』

という意味があって
その4つが揃って『真実・本物の力』になるんですよ」

本来は願いを叶えるではなくて
こういう意味なのですが・・・・
そう思ったランシーンだが
シュウの願い事が嬉しくて
『願いを叶えるものではない』と言いそびれてしまう

「へ〜、そうなんだ、さすがワル夫!よく知ってるなぁ」
シュウはランシーンを感心しながら見つめ
そして手にある四葉のクローバーに目を移し
「4つが揃って本物の力かぁ〜」と呟く

「4つの葉を俺達に置き換えたら・・・
誠実ってのは・・・ワル夫かなぁ・・・
でかっちょは・・・希望?
俺は何になるんだろ・・・・」

「「『愛』」」2竜の声がハモる

「ええーー!俺『愛』なの?」
シュウは笑う

「しかし・・・1枚だけ葉が余りましたね」
ランシーンがそういうと

「ん?余ってないよ?」とシュウが言う

「余って・・・無い?」
ランシーンが聞いてくる

「うん、だってもう一人いるじゃん、お前達と同じウインドラゴン・・・」

自分達と同じウインドラゴン・・・?

金色の瞳を持つ
六枚の翼のウインドラゴン

「「あ!!」」

「あいつか?」
「あいつですか?」

2竜がカネルドの事を思った瞬間
風が2竜とシュウを包むように吹き抜けていく

「ほらな?あいつもそうだって、言ってるだろ?」
シュウは得意げに言う

2竜はお互いを見つめ

そしてシュウを見つめ

笑いを浮かべながら
「本当に貴方には敵いませんね・・・」
「・・・・そうだな」と呟く

誠実の葉

希望の葉

愛の葉

幸運の葉

4つの葉は絆を深め
真実の力を手に入れる


おしまい