ばいばい(シグアミ)
「行かなくちゃ いけないとこがあるんだ」

いつもは無気力な彼の声が、この時だけ強く、張って聞こえた。

こんなにしっかりとした瞳を見たのも初めてで、なんだか怖くなった。

彼の瞳が、声が?

いや、消えてしまいそうに儚く光る、君の手の灯??

違う

「・・・・・私を、一人にするの?」

じぶんがひとりにされること。




ああ、私はなんて不器用なの。

彼は使命を果たしに行くの。私を一人にするんじゃない。

彼一人がいないと、生きていけない。

いつまでも自分を可愛がってる。

彼を困らせるような弱い人間に育って

そして彼をいつも困らせて

た の し い??


―――ぬくもりがほしいです

最初で最後の、君のぬくもりがほしいです



きゅ

っと火を灯している、赤い手を握った。

「―――ッアミティやめっ・・・・!!
               て・・・手・・・焼けちゃ・・・・・・・・・

・・・絶対帰ってくるよ」

そういって、シグは焼けそうになった私の手を離した。
そして手にあった火を消し、私の手を両手で包んでくれた。
火を消したばかりだったから、まだ手はあったかくて。


「ほんとに?」

「うん」

そのことばが ほんとになりますように

「最後、最期じゃないよね?」

「うん」

そのことばが ぜったいほんとになりますように

「ひとつ わがままきいてくれる?」

「なあに」

「ばいばいのはぐして」

ぎゅ

ってはぐしてくれた。まだ手はあったかかった。



これいじょう めいわくかけたくない



ぱっ

と自分から離れた。

これ以上ぬくもりを感じてたら 泣いちゃいそうで



「へへっ」

泣きそうな声が出そうだった。だから、変に声に出して笑って誤魔化してみた。

「行ってきなよ」

下唇をきゅっと噛んだ。

じゃなきゃまた、わがまま言いそうでこわいよ。



「うん」

少し間を空けて、シグは返事してくれた。

そして、背中を向けていってしまった。









ばいばい




いまじゃこの声 君に届かない

―――――
あとがき

初小説ですが

当初の趣旨と全然違うなー

みたいなのになってしまいました><;小説って難しい

設定はあやとの決着をつける前にアミティに別れを告げる的な(まんまですね

いつの間にかアミさんサイドになってました★めんぼくない★
スポンサード リンク