▽過去の詩集 第1期:名前の無い詩141-160
▽第1期:名前の無い詩 141右翼は天の遣い
鎖一欠片 地に繋いで
左翼は獄の遣い
鎖一欠片 空に繋いで
束縛の糸は絹
または髪
茫漠の場は宙
または底
十字を柩に埋めて
相対使者葬送列
2008/1/7(月) 19:02
▽第1期:名前の無い詩 142
貴方は知らない
此処の乖離
貴女は知らない
其処の乖離
崩壊と崩落と破滅と破戒
選択に差違は無く
2008/1/7(月) 19:02
▽第1期:名前の無い詩 143
すれ違う手
ふれ合わぬ暖かさ
冷の監獄に
悠久の時過ごし
すり抜ける手
忘れかけた暖かみ
2008/1/7(月) 19:02
▽第1期:名前の無い詩 144
冷たい水は
在らぬ桶へと
温かい血は
有らぬ瓶へと
鏡が映す 在りし郷
鏡が移す 有りし夢
寡言が雄弁に語る
壊れた橋を
2008/1/15(火) 17:06
▽第1期:名前の無い詩 145
私の心臓を握る貴方は
死神ですか?
それとも天使?
はたまた悪魔?
若しくは神様?
お好きなようになさい
逃げやしないから
潰したいならそうしなさい
2008/1/15(火) 17:06
▽第1期:名前の無い詩 146
当て所無く彷徨う月
見守るは赤い日
冷めた空は雪も忘れて
暖かみすら遥か色褪せる
何も無い 名も無い 空ろに似た
硝子で透かし視た先の
2008/1/15(火) 17:06
▽第1期:名前の無い詩 147
煙も漂う事無く消え失せては
射す影は深く闇に陥って
左右のない 閉鎖空間
前後のみの 郭海港
上下だけが 満期現実
2008/1/15(火) 17:07
▽第1期:名前の無い詩 148
紅い日差しが抜けきっても
残る欠片が目を灼ききる
赤茶けた地図は破れかけて
小刻みな震えは静か
今此処に在らず
悲しみさえ有らず
2008/1/15(火) 17:07
▽第1期:名前の無い詩 149
死桜の舞う地獄も
いずれ訪れる春は
ただ歪に着色して
崩れた土をえぐり
入り交じった思考
ただ現の影を踏む
息絶えた蝶を湛え
暗く沈み行く穴に
追い討ちを加えて
契りを破り続ける
壊れた機械の玩具
ただ幻の世を歩く
2008/1/15(火) 17:07
▽第1期:名前の無い詩 150
風が躍れる彼の地よ 宴は此処で
崩れの空が蹲れ 宴は其処で
水が注がれる硝子の器よ 宴は何処で
旋転蛮地 外形破存
永久に留まらず
2008/1/15(火) 17:08
▽第1期:名前の無い詩 151
影見あたらぬいと高き天
鳴いて告げよ
純白の烏
風絶えぬ遙か遠き禊ぎ場
鳴いて告げよ
紅蓮の鳩
そぐわぬ刑すら負おう
その涙が止まるならば
捧げて惜しい物など
2008/1/15(火) 17:09
▽第1期:名前の無い詩 152
シズの柩が滞る
遠方の奥底の洞穴
シズの鎖が留まる
至近の前面の水辺
二片の存在
二片の不在
ドウの羊が蠢く
遠方の最奥の森林
ドウの楔が塞ぐ
至近の眼前の山頂
双形の存在
双形の不在
2008/1/21(月) 16:26
▽第1期:名前の無い詩 153
囀りの声よ 何処までも届け
風に運ばれて染み渡りゆくから
囀りの音よ 何処までも響け
壁に遮られることは無いのだから
言葉ではないことは
百も承知の上
今の私はこれが
精一杯
だから鳴り渡れ 小さなこの声
2008/1/21(月) 16:27
▽第1期:名前の無い詩 154
乾いた手は探る
流るる血道
悴んだ手は辿る
止まらぬ川
ほろほろ 雫と成る
寂しくも ほろほろ
愛でる事も煩わすだけで
2008/1/21(月) 16:27
▽第1期:名前の無い詩 155
月の旅路 日の路地
赤い夢は 黒い現と
冷たい目を宿して
辿る狭間 準える間
白い爪は 青い腕と
暖かい耳を携えて
迷える闇の酩酊は虚ろにも
残滓を於いて立ち退き行く
2008/1/21(月) 16:27
▽第1期:名前の無い詩 156
沿う 指這わせる光の端
なぞっては思い返す
添う 指這わせる闇の中
なぞっては忘れる
音は見上げ 色は見下げ
眠りにつく天地
目覚める空海
なぞっては積み上げる
ユメウツツ
2008/1/21(月) 16:28
▽第1期:名前の無い詩 157
繊月の元 佇む姿
抱えた大鎌の刃先
触れて揺れる向く先は
自分の胸にか 足下の骸にか
透明な血に濡れる
だから貴女は死神で
だから私は死ねない
2008/1/21(月) 16:28
▽第1期:名前の無い詩 158
黒く歌う 日射す窓
青く映る 月照る泉
仄かに応える声を似せて
白く笑う 雲飛ぶ絵
赤く陰る 影吊る縄
2008/1/21(月) 16:29
▽第1期:名前の無い詩 159
高嶺の花
この手に届かぬ物など
焼き払ってしまえ
天上の鳥
この目から逃げる物など
焼き払ってしまえ
風の便り 焦げ付いた匂い
制裁の篝火 火傷の痛む痕
草原も頭も
焼き払ってしまえ
2008/1/21(月) 16:29
▽第1期:名前の無い詩 160
奉る象りの形
水と土と火で得て
此処に座す
偽る捧げの贄
血と肉と命で得て
此処に兆す
天など畏るる勿かれ
2008/1/31(木) 21:17
2011/12/8(木) 01:25