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女は思い出したかのように手を叩いて言う。
「そう言えば素麺つゆを忘れているわ。」
「取ろうか?」
「取ろうか?ってどこにあるのか分かっているのですか?」
「いや・・・」
「分からないのにどうして、聞いたのですか?」
「いや、君が知っているかな。って思ってね。」
「貴方って本当に無責任ですね。」
「無責任とは何だい。」
女は無言で自分のすぐ後ろから素麵つゆを取る。
「あるじゃないか。」
「はい、別に無いだなんて言ってませんけど・・・」
「あぁ、だけどね。あるのならどうして取ってくれだなんて頼んだんだい?」
「別に良いじゃないですかそんな細かい事。あまり、細かい事ばかり言っているともてないですよ。」
「だから、別に良いんだけどね。」
「それよりテレビを着けてくれませんか?」
「テレビ?何処にあるんだい?」
「ほら、すぐ後ろにあるじゃないですか。」
男は後ろを振り向きテレビを探す。
しかし、そこにテレビは無い。
「本当に駄目な人ですね、貴方は。」
彼女はそう言って自分の後ろにあるテレビを着ける。
テレビにはノイズ。喧しいノイズ音。
「ちょっと、駄目な人とは何だい。そもそも君の後ろにあるだなんて言って無かったじゃないか。」
「ネギいります?」
「あ・・・あぁ、いるけどね。君はもう少し詳しく言うべきだ。」
「ネギ入れてときますよ。・・・・・・言いましたよ、後ろって。」
「いや、いったけどね。君の後ろだとは言わなかったじゃないか。・・・ちょっと!これはなんだい。」
「なんですか?また。」
「どうして、ネギを丸ごと入れるんだ。」
「食べられるじゃないですか。」
「まぁ、食べれるけどね。・・・そんな事じゃないんだよ。」
女は呆れたように言う。
「なら、何なんですか?」
男はネギをかじりながら答える。
ガリッ
「どうして、切らないのかって事だよ。」
「・・・意味が解りませんよ。」
ガリッ
「どうして、解らないかな?」
「・・・・何がですか?」
ガリッ
「だから、どうして切らないのかって事だよ。」
「・・・意味が解りませんよ。」
ガリッ
「あぁ、何で解らないんだよ。」
「知りませんよ。」
ガリッ
「だから、なんでネギを切って入れなかったのかって聞いてるんだよ。」
「あぁ、そう言うことですか。」
ガリッ
「さっきからそう言ってるじゃないか。」
「知りませんけどね。だけど、切らなくたって食べれるじゃないですか。」
ガリッ
「だけど、切ってあった方が美味しいじゃないか。」
「そうですか?だけどちゃんと最後まで食べれたじゃないですか。」
「いや、食べれたけどね。」
「なら、良いじゃないですか。」
「いや、まぁ、確かに良いんだけどね。」
「本当に細かい事をグジグジと・・・嫌われますよ。」
「嫌われるとは何だい。」
「はいはい、そうですね。」
「君は本当に態度が悪いな。もっと、キチンと人の話を聞くべきだ。」
「わかってますよ。」
「いや、解ってない。」
「あぁ、はいはい、わかってますよ。・・・・それより、時間良いのですか?」
「・・え?」
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