暑い夜

何処から香る 火薬の匂い

煌く 夜の街並み

カラコロと響く 下駄の音

夕涼みの声









【真夏の夜】









蝉の鳴き声

蒸し暑い熱気

時に吹く 心地良い風


浴衣の裾と 彼女の細いうなじを通り過ぎてゆく

彼女の綺麗に結われた髪の合間の みだれ髪が

時折 風に靡いて

彼女のうなじをくすぐる

綺麗だ







蒼い夜の空

その夜空に煌く星

祭りの御囃子の音.....


久しく見た、彼の姿

全てがたくましくなっているように思える

何とも言えず、綺麗で....

少し悔しいけれど ちょっぴり、格好良く見える




ねぇ、何かあったの

私と会わない間に

あなたをこんなに素敵にする魔法

何処かで見つけてしまったの......?







君の笑い声が聞こえる

金魚すくいに夢中になるフリして

君の横顔を盗み見る


君も少し 本気になって

金魚の泳ぐ水面を 必死になって見つめてる


あんまり可愛い声が 耳をくすぐるから

少し 緊張して

手元が狂ってしまうよ

金魚が 逃げて行っちゃう




ねぇ、何かあったの

僕と会わない間に

君をこんなに綺麗にする魔法

何処かで、見つけてしまったの......?







互いに 何も聞けないままに

どきまぎする気持ちを

必死に抑えて

こんなにも こんなにも近くに居るのに......







花火の音

風に乗せられた 火薬の匂い

夜空に咲く 一輪の花


君の顔を 明るく照らして

僕は 眩しさに 少しだけ、瞳を閉じる


瞼の裏でも

君の笑顔や 煌く花火は

鮮明に映って


まるで 僕だけの秘密の宝箱みたいに

輝いている







ねぇ 夏だよ

君と出逢って 2年目の夏

ねぇ 触れてみてもいいかな

君の綺麗な 白い柔肌に







僕は、風に揺れるみだれ髪を撫でた

そっと やさしく

彼女のうなじを撫でる.....


君は 少し顔を赤らめて

俯いてたけど

口元は うれしさを噛み締めてたのが

うれしかった


誰にも見えない木陰

ふたりきり


そっと 君の耳にくちづける

耳朶をそっと口に含む

君の顔が

耳まで ゆっくりと 目にわかるように赤らんでく




ねぇ、もっと触れてもいい?




耳元で囁いた

ためらうような仕草の後に

目を凝らさなきゃわかんないくらい

ちいさく 君がうなずいた


僕は そのいたいけな紅い唇に

そっと やさしいキスをした









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