1日1枚ずつ
その美しい花びらを散らして
すべての花びらが散り落ちたとき

わたしはあなたのもとへ帰りましょう





あなたの言葉を
わたしは今も覚えています

わたしは1日1日
あなたのくれた 美しい花を
1枚1枚 その手で散らした



美しい花は
ひとつ散り ふたつ散り・・・

とうとう、すべてが消え失せ
わたしは喜び勇んで 表へ出ました

日が暮れても
ただ ただ あなたを待ちました



しかし、待てど暮らせど
あなたは姿を現さない

今に そこのカドから
ひょっこりと顔を出すのではないかと

気が気でないわたしに
ひとひらの花びらが舞い降りました





私は花でした
あなたの美しいと言ってくれた、花でした

散り際に 木々の間から見えた
あなたの面影

あなたはすべて知っていたのでした
すべての、傍観者でした



散った花は 血が滲み
木々の根っこで泥まみれになりました



木々の間から見た
あなたの面影はまぼろしなどではありませんでした

木々のように見えた影のひとつに
あなたの顔を見つけ

わたしは 膜の張った意識のうちで
あなたを知るのでした





あなたは木
わたしは花

木はいつでも花を散らすことができる
そう、いとも簡単に

それは気まぐれに
そしていたづらに



わたしは木に散らされた
ひとひらの花でした





でもね、あなた

覚えていて





花は、ひとひらだけではないの
いくつもあるということ



それは、ひとつの木を
覆い隠すほどの・・・





ねぇ、あなた

まだ、風の声が聞こえる?
花の落ちる音が、聞こえる?


息が、でき  ま     す   か    ?







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