▼最終章 後編 

「今回の事件の要因は、シャドーが古代にあった次元の統一を実現する為の反乱だった。元々、次元はひとつだったというシャドーの発言は本当だったらしく、それまでは何処も平和だったらしく、シャドーはそれを再び実現しようとしていたようだ。ようするに自分が生きていける平和の世界が欲しかったようだ。しかし、今の世界を壊されは困る。反対する人も居る、賛成する人もいる。それを勝手に武力で無理やり実現しようとするからこうなるんだ…狂人部隊ナイトメアは、元々時空管理局に配属していた特殊部隊だったようだ。随分前に部隊ごと行方不明になり、消息も絶えていた。しかし、今回の事件によって彼らは生きている事を証明した。亡くなった人や逮捕された人。何故そうなってしまったのか…それは今だに不明である…」

と、アルは時空管理局本局でレティ提督の前で報告し、書類を渡すアル。

「ふぅ、随分と荒っぽい報告ね…まぁご苦労様。」

「は、はぁ…有難う御座います。」

任務終了と分かり、ほっと胸を撫で下ろす。

「で、明日から収容生活だけど。どう ? 」

「どうと言われても…まぁのんびりとやって行こうかなと…」

アルが困った顔で言い返すと、リティ提督は書類を引き出しに仕舞いこう言い出した。

「なのはちゃん達が残念そうな顔をしてたわよ、あなたとしばらく会えなくなるって…」

「3,4年、彼女らには重い3,4年になりそうですね。まぁ俺にとって3,4年程度はあれですが…しかし、俺が釈放される時までにあいつらがどれ程成長するか楽しみです。」

アルは椅子に足を組みながら座り、葉巻のに匂いを嗅ぎながら独り言のように淡々と話す。

「フェイトちゃんとはどうするの ? 一応、リンディ提督と共に仮保護者が残ってるわよ。」

「ふっ、今じゃリンディ提督との家族じゃないですか。俺がどうこうという問題じゃありません。フェイトがそんなに気にしてるんなら、一回会いに来いと言っといて下さい。」

そう言い、匂いを嗅いでいた葉巻を内ポケットに仕舞い、立ち上がるアル。

「まぁ、あなたも頑張りなさい。きっと監獄の中で何か見つかるわよ ? 」

アルが部屋を後にしようとした時、レティがふと呟く。

「見つかる ? 一体何が ? 」

「それは、自分で見つけて初めて分かるわよ。」

アルの不思議そうな顔を見て微笑しながらそう言うとアルは、首を傾げて部屋を後にした。

「………ふぅー…アル君、頑張りなさい…」

レティは引き出しからアルの書類を出し、再び読み始める。

「………文章下手ね…」





影の長き宿命は終わった。

今回の事件は、アルの分身、アル自身の犯行等騒がれ、「A , B 事件」と呼ばれるようになった。

戦場化したゲヘナは一般騎士の地道な行動により復興への道を進んでいる。

そして、アルやなのは達は…

アルは、裁判が開かれ6年の収容生活、そらに50年の国外追放が決まった。

そして、なのはやフェイト、八神家、副隊長達は…


なのはは、戦技教官への道を進もうとしていた。

フェイトは、執務官としてなのはと共に鍛錬の日々。

八神家は、依然と管理局から保護観察を受けている。嘱託扱いで管理局任務へ従事している。

ヴォルケンリッター達もはやてと共に、保護観察を受け、はやてと共に管理局任務にあたっている。

そして、副隊長達は…ヘレンは執務官を目指し、フェイトとなのは共に訓練に励んでいる。

一方、リバルの方は、シグナムとの縁があり、八神家と共に管理局任務にあたっている。



そして、6年後…


「………老王、大丈夫か ? 」

眠そうな顔で監獄の中で老王の腕に話しかけるアル。老王の腕はほんのり温かかった。

「相変わらず、ご健康のようで…」

眼を擦りながら立ち上がるアル。今日は釈放日である。

その後、管理局員に連行され、レティ提督のところまで連れていかれ…

「おはよう、アル君。調子はどう ? 」

やけにニコっとした顔で話しかけるレティ。

「ふっ、早く仕事がしたくてウズウズしてますよ♪」

「じゃあ、早速任務にあたって貰おうかしら、はい。」

レティがそう言うと、部屋の隅に保管されていたエクスキューショナーをアルに渡す。

「有難う御座います、レティ提督。」

「頑張ってね、じゃあ服、着替えてらっしゃい。」

アルは了解と言うと、部屋を後にし、収容所に一旦戻り、私服に管理局制服に着替えて再びレティのところに戻る。

「中々似合ってるじゃない。」

「いやぁ、少し苦しいですね…」

アルは苦い顔をしながらきつく絞められたネクタイを触る。

「まぁすぐ慣れるわよ。じゃあ早速任務の方を伝えるわね。」

レティはそう言うと、引き出しから書類を一枚取り出し、アルに渡す。

「現在、なのはちゃん達があたっている、ある世界に発見されたロストロギアの回収。それをアースラへ転送。」

「随分と平和な任務ですなぁ…」

任務の内容を聞いて、書類を見ながら苦笑するアル。

「ロストロギアだから油断は禁物だわ、まぁなのはちゃん達が居るからあなたも合流で、鬼に金棒ね♪」

「よく言いますね…」

「それに、ヴォルケンリッターと副隊長の方々も別な場所に居るみたいだから安心よ。」

「了解しました。では、行ってきます。」

レティの話を聞いて、書類を全て読み終わり一度頭を下げて部屋を後にした。

「さてぇ…行こうかァ!」

そして、アルは再び戦いの場へ身を投じるのであった。



魔法少女リリカルなのはA's外伝 反乱のアル=ヴァン
                               
                                  完結

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