▼最終章 前編 
最終章「未来への一歩」


さぁ、この物語は終焉を向え、此処で完結。そして、未来へ…


アースラ面談室


「………どれぐらい、収容されるんだ ? 」

アルが眼を閉じ、俯きながら呟いた。

「……3,4年の収容生活。それに、国外追放は免れない…」

クロノも眼を閉じながら話す。

「そんなぁ!ねぇ、クロノ君!なんとか成らないの ? 」

ヘレンが仰天し、眼を丸くしながら眼を閉じながら話していたクロノの身体を揺らし、必死で抗議する。

「ヘレン!」

「ッ!? 」

リバルが怒鳴る!面談室に猛烈な怒鳴り声が響き渡る。ヘレンはそれに驚き、ふと動きを止め、リバルの方にゆっくり振り向く。

「あんたがどう言ったって、どうにかなるとでも思ってるのか ? 」

さっきの怒鳴り声とは裏腹に、低い声で淡々と話すリバル。それを聞いたヘレンは俯きながら元の場所へ戻った。

「すまない、僕も出来る限りの事をしたんだが…」

「クロノ執務官が謝る必要はない、これは仕方ない事だ。」

「リバル副隊長…」

リバルは自分の事の様に受け止めて、クロノへの誠意を見せた。

「ふぅ…ま、しょうがないな…」

アルはそう呟くと、内ポケットから葉巻とマッチを取り出し、火を点けて葉巻を吸い始めた。

「アル君、釈放されてからはどうするの ? 」

リンディがリンディ茶を一口飲み、湯飲みを床に置くとアルに質問した。

「部隊戦技教官をやりたいんです。どうせ、国外追放だったらミッドで暮らせば良いんですから。」

「で、あなた達はどうするの ? 」

アルの返答を受け、リンディはヘレンとリバルの方を向く。

「私は、まだ…しかし、ミッドで何かをやって行こうと…」

「私は……まだ何も…」

どうやら、何も決まっていない様子。それを見たリンディは…

「まぁ、これから決めて行けば良いわ。これから現場検証、事件の真相を探る為に調査班がこちらへ到着します。それまでの間、ゆっくりして行って。」

リンディはそう言い残すとクロノと共に面談室を後にした。

「…………ふぅーーー…」

面談室にはアルが葉巻の煙を吐く、微かな声だけが聞こえた。


アースラリラックスルーム


一方、なのは達やはやて一家はクロノから今後のアルについて話された。

「そうか…そうなるのか…」

シグナムが思わず俯く。

「仕方ないな…これはどうしようもねぇ…」

ヴィータは険しい表情で頭を掻く。

「3,4年なんて…長いよ…」 「アル…」

なのはとフェイトも俯いてしまう。

リラックスルームは、重い空気に満ちていた。すると…

「なぁに皆暗い顔してるんだぁ ? 」

アルとヘレン、リバルがリラックスルームに入ってくる。

「「ッ!」」 「ぁ…」 「「………」」

皆、一斉でアル達を向くが皆重い表情を見せる。

「おやおや…そんなにガッカリするな、他かが3,4年だ。しかも、会えない訳じゃないし、会おうと思えばいつでも会えるんだ。だからそんなに……悲しい顔…すんなよ。」

最後の言葉は優しい声で言うアル。

「アル君は、それで納得しとるんか ? 」

はやてがふと、口を開いてアルに質問する。

「ふっ、別に納得とか別にどうもしないよ。納得いかなかったらどうにかなるのか ? こういう時はあっさりと素直に受け止めるのが一番なのさ…」

「お前達もそれで良いのか ? 」

今度はシグナムがヘレンとリバルに質問する。

「私はそれで良いと思っている。この事で、アルさんが逞しくなって帰ってくるのを私は待っている…」

「しょうがないというのが…本音かな…」

それぞれ意見が分かれる2人だが、最終的にはこの事を承認しているようである。

「まぁ今から俺達は、現場検証がある。行方不明者等の捜索があるからな、じゃあまたな!」

そう言い、アルはアースラを後にした。

その後、管理局の調査班とゲヘナの騎士との共同捜索の結果、行方不明者のほとんどが発見。秘書のヒカリも地下の監獄で監禁されているのを一般騎士が発見した。

狂人部隊ナイトメアの部隊員は逮捕され、次元収容所へ移され、死亡したナイトメア隊員は調査班に回収された。

そして、調査班の調査によってこのような事が分かった。

「今回の事件の要因は、シャドーが古代にあった次元の統一を実現する為の反乱だった。元々、次元はひとつだったというシャドーの発言は本当だったらしく、それまでは何処も平和だったらしく、シャドーはそれを再び実現しようとしていたようだ。ようするに自分が生きていける平和の世界が欲しかったようだ。しかし、今の世界を壊されは困る。反対する人も居る、賛成する人もいる。それを勝手に武力で無理やり実現しようとするからこうなるんだ…狂人部隊ナイトメアは、元々時空管理局に配属していた特殊部隊だったようだ。随分前に部隊ごと行方不明になり、消息も絶えていた。しかし、今回の事件によって彼らは生きている事を証明した。亡くなった人や逮捕された人。何故そうなってしまったのか…それは今だに不明である…」

と、アルは時空管理局本局でレティ提督の前で報告し、書類を渡すアル。
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