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そうして、俺は今日も朝から教室で、生徒に塗れて授業授業授業。
「いいかー、今日の所は大切だからよっく覚えておけ。受け身自発可能尊敬っ!入試での出題率高いぞー」
授業の最後にまとめ的にそう言ったら。
「わかったー、受け身自爆可能そんけーだね先生っ!」
っておいおいおいおい。
「何が自爆だ、じ・は・つっ!」
「あははははは、わかってんよセンセー」
なーんて言って生徒退場。あー、今日も疲れた。楽しいんだけどねこの仕事。だけど精神的な消耗率も高いんだ。癒しが欲しい。めっちゃ欲しい。……旅行でも行こうかな。温泉とか。……男一人で行ってどーする。ううううう、なんてちょっと落ち込みながら職員室に戻って自分の席に着くと、疲労のあまりもう立ち上がれないような気分になる。喉も、酷使しすぎなもので、お茶を飲んで喉を湿らせよう。ペットボトルに手を伸ばそうとしたらその下に何かちっさい紙が挟まっていた。
「ん?なんだこれ?」
名刺、みたいだななんて思ってそれを手に取ったら。やっぱりどっかの会社の名刺で。んー?って思ってよく見たら。書いてあったその文字は。

太陽生命 第一営業課 久慈朋樹。

俺は声も出せないままその名刺を凝視した。久慈、って書いてある。久慈ってあの……ヒマワリの久慈さん?
俺は自分の目が信じられなくて、身じろぎも出来なくて。ただ、息を詰めた。


続く
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