▼2
ぬっと伸びた手が僕の顔を掴む。この瞬間その手が誰の手かも分からなかった。指の間からかすかに男の顔が見える。
男の手は思ったより温かかったが、逆にぬるくて気持ちが悪かった。
男の笑い声が耳に入り込んできた。
男の顔、手の感触、声、男を知れば知るほど、僕は洗脳されていく感じがした。
あぁ 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い・・・・
その思いが強かったのか僕は男の手を振り解いていた。少し冷静になり自分の腕が鳥肌がたっていたの
に気づいたのはそれから数十秒後のことだった。
男はまだそこに立っている。
なのに
なのに
少しずつ近づいてくる。
動いていないのに少しずつ、確実に、一定の速さで
僕に近づいてくる。