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ギンイヅ小説の続きです。
前編を読んでからお読み下さい。
おそらく
死ねたです←




翌日、隊長宛ての書類を預かり三番隊舎に戻る。


隊長室に入ると珍しく隊長が居た。いつもは仕事が嫌などおっしゃって、どこかに行ってしまう。
これは珍しいと思い、後で日記につけようと思った。

「隊長、この前の六番隊から新入された方の手続きの書類です。」
そう言って隊長の目の前に書類を置く。

「えぇ〜イヤや〜・・・。
・・・あれイヅル、爪短いやないか。」

その言葉にドキッとする。
深爪はいつもの事で小さい頃からの癖だ。
気が元々弱いからか、人に思ってる事が言えないからか、爪噛みの癖があるのだ。
それですごい気にしていて、人に言われるたびに愛想笑いをして誤魔化した。

「痛くないん?」

いつものニヤニヤとした怪しげな笑顔だった。
きっと心配なんて全然してないのだろう。
そもそも隊長が誰かを心配しているトコなんて一度も見たことがない。

「いえ、癖で。」
「へぇ〜・・・・。」

そう言いながら僕の手を掴んで、じっくりと見ながら楽しんでいた。
僕にはそう見えた。

隊長は今こんな醜い手を見て、更に僕の事を嫌いになったんじゃないだろうか。
どうしてもそう思ってしまい、この場から逃げだしたくなった。

隊長が手を離した。
裾が揺れて手首の痕が見える。

隊長はもっと強い力で僕の腕を再び掴んだ。

「イヅル、これ、どないしたん?」

頭が氷ついた様に感じた。
隊長への愛の痕だなんて、印だなんて、言えない。
お気を害されたのではないだろうか。
いつも持ち歩いている短刀を強く握りしめる。

「趣味っ・・・・、です。」

咄嗟に思いついた事を口に出した。
すると隊長は狂ったように笑いだした。

「あはっ、あははははははははっ、」

「イヅルえぇ趣味しとるな。」


「はぁ・・・。」

意味がよく分からなかった。
でも隊長のお気を害してはいないようで安心した。

会話が一段落して隊長はしぶしぶ書類を広げ仕事をやり始める。
僕も机に向かい、自分の書類を確認し、急ぎのものは無かったので日記を広げる。


コンコンッ。

ノックする音が聞こえた。
焦って日記をしまう。

「おーい、市丸〜・・・」

日番谷隊長だった。
待っていましたと言わんばかりに隊長はすっ飛んで行く。

「あ〜、シロちゃん。」
「シロちゃんじゃねぇ、それより今日までの書類は「今やってるトコや、ちょっと休憩せなアカンわ〜・・・。ほな 行こか。」」

ありえない速さで会話を遮り、仕事をサボる。
日記を書くにはいいタイミングだけど、

だけどっ、


「・・・っ・・・・隊っ長・・・!」

「何や?」


「・・いっ・・・行ってらっしゃいませ・・・」


言えないっ言えないっけど、けどっ
僕は隊長が好きだから、好きだから。

隊長が見えなくなってからすぐに左腕に目を向ける。

もう切るところは無かった。
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