*甘色
猫のように気まぐれで

ときにすっごく甘えん坊で

でもいつでも優しく包んでくれて


*甘色*



「ねーベルー。」

「んー?」

「いつまでこうしてるつもり?」

もう15分は経つだろうか。
ベルは胡坐をかいて綱吉を後ろから抱き締めたまま、ずっと動かずにいる。
最初は綱吉もベルのいつもの気まぐれだろうとおとなしくしていたものの
流石に15分無言で抱き締められているのは辛い。

「暑くないの?」

自分の前に伸ばされているベルの腕を見つめながら、綱吉は問う。

「んー全然。だって俺王子だし。」

「訳がわからないよ。」

綱吉抱き枕みたいで気持ちいいんだもん、とベルは子供のように言いながら更に強く抱き締める。

「このままこうしてたら寝れそう・・・」

ベルの発する声が段々と眠気に蕩けていくのが分かり
綱吉は背中にベルの体重が徐々に掛かっていくのを感じた。

ベルはそのまま綱吉に自分の体重を預けていき
顔はブラウンの柔らかな髪の中へ片方の頬を置くように埋めると
それが動いてくすぐったさが頭に感じられた。

「ベル・・・かわいい。」
動きからベルの姿を想像するとまるで甘える子供のようで
思わずそんな言葉が笑みと共に口から零れる。

「何言ってんの・・綱吉の・・・方、が・・・」

既に半分夢の中にいるような声でベルは言葉を繋ぎ
全てを言い終わる前にそれはただの寝息へと変わっていた。




猫のように気まぐれで

ときにすっごく甘えん坊で

でもいつでも優しく包んでくれて


「おやすみ、ベル。」


そんなあなたが大好きです


end



とにかくスイート甘々が書きたいという願望から出来上がったお話です。
スポンサード リンク