*満月の夜(ツナツナ)
※この小説は超ツナ×ツナのお話です。


























*満月の夜*



月は高く、昼間の活気を淡い光で静寂に包み込んでいるある日の夜。
いつものようにつなは自室のベッドで静かに夢の中へと入っていた。
目覚まし時計の秒針の時を刻む音だけが
その静寂の中で息づいている。

今は丁度、月を薄い雲が覆い隠していて
時が経つにつれ、やがて夜風が月から雲を取り去ってしまうと
光はつなの部屋に突如現れた者を照らし出した。
それは窓際に佇んでいて
瞳は自分を見下ろしている月へと向けられている。

(満月・・・)


この1人の存在に気づかず
いい夢でも見ているのか微笑を浮かべているつなの方へそのまま視線を這わせ
ゆっくりベッド脇まで移動すると
驚かせないようにそっとつなの右肩を叩いて声をかけた。

「起きて・・・」

しかしつなは母親が起こしに来たと思ったのか
今日は休みなんだから・・・と呟き寝返りをうって再び寝息を立て始めた。

今度は、先程よりもやや強めに肩を叩いて起こしにかかる。

「ねぇ、起きてよ・・・俺。」

「・・・お、れ・・・?」

寝ぼけた瞳を開いて
しばらく焦点の定まらない視界の中を彷徨っていると
自分のすぐ左に『誰か』の影があることに気付いた。
段々と視界がはっきりしてくると
その影は『誰か』ではなく、紛れもない『自分』で、
つなは大きく瞳を開く。

「・・・えっ?・・お、お、俺が「しっ、静かに。」

驚きから大きな声を上げてしまいそうなつなの口を
つなとそっくりな人物は人差し指を置いて制した。

そのままにこりと微笑み
未だに現状を理解できないつなに一言。


「初めまして、俺。」


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