*満月の夜2
「え、えと・・・夢?」夢か現実か、相変わらず何がなんだか分からずにいるつなの片手にその人物は指を絡ませる。
「いや。・・・ほら、俺の手、温かいって感じるでしょ?」
「ほ、本当だ・・・。じゃぁ、これは夢じゃなくて現実・・・な、の?」
「そう。とりあえず、俺は君のことを『つな』って呼ぶから
つなは俺のこと『綱吉』って呼んでね。」
「・・・じゃぁ、つ、綱吉。君、何者?」
「俺は君。沢田綱吉だよ。正確に言うと、超死ぬ気モードの。」
『綱吉』はベッドの空いているスペースに腰を下ろす。
それにしても妙な気分だ。
自分と会話しているなんて。
「つまり、綱吉は俺と体が分かれちゃったってこと?」
「そういうことになる。」
「な、なんで急に・・・?」
「分からない・・・でも、」
『綱吉』はベッドのスプリング音と共に立ち上がり
最初に現れた窓まで歩いていくと、また同じように月を見上げた。
窓からの明かりで体に光と影が同時にできる。
『つな』はそんな『綱吉』の姿に一瞬心臓がドクリと音を立てたが気付かなかった。
「いつも月に願ってた。こうならないかって。」
「?それどういう・・・」
不意に瞳がベッドへ向いて2人の視線が重なり
『つな』はふっと目を細めた『綱吉』に気付いて言葉を止めた。
「つなとしてみたいことがあったんだよ。」
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