*ティータイム
*ティータイム*


「やぁ、いらっしゃい。」

帰りのチャイムがなって放課後になったら、応接室。
最早習慣、当たり前の日常。

何故行くかと言えば
雲雀さんという大好きな人に会うため。
最初は、呼ばれていた、だったけれど。

(・・・いつからだったかな)

貴方が怖くなくなったのは。

「?中入らないの?」
「え、あ・・・すみません。」
「余計な事考えてたんでしょ。
今は僕といるんだから、僕以外の奴のことなんか考えちゃ駄目だよ。」

そう言って腕を組んで
少し表情がむすっとしている雲雀が可愛いとすら思える自分に、
思わず笑いが込み上げてくる。

今度は急にくすくす笑いだした綱吉を見た雲雀が
つかつかと歩み寄って来た。
そして半ば呆れたような顔で下から覗き込む。

「君大丈夫?」
「大丈夫です、ただ、なんかびっくりだなぁって。」

だって、これが当たり前になってしまったのだから

何のことだかさっぱり分からない雲雀は溜め息を一つつくと
紅茶をいれるために食器棚へ向かった。

(ほら、こんな)

こんな、雲雀さんが他人のために紅茶を入れる光景なんて、滅多に見られるものじゃないのに。

まだ慣れていなかった頃はこんな落ち着いてなんかいなくて
意外な一面に少し緊張していたくらいだったのに。
今はその光景を
微笑みながら見つめる自分がいる。

「雲雀さん、手伝います。」

バックをいつも座るソファーに置いて素早く駆け寄ってカップを受けとる。

「さっき、俺、雲雀さんの事考えてたんですよ。」
「へぇ。いったい僕の何を?」
「優しいなぁって。」
「今更かい?」
「だって、最初は怖かったんですよ。
 だけど、毎日会って、その、恋人って関係になって・・・
 だから、びっくりだなぁと。」

雲雀は食器を出す手を止め綱吉に視線を当てていた。
それに気付いてふと目を合わせると
雲雀の表情は柔らかくなっていた。
きっと、他の人なら気付かないであろう微妙な変化。
綱吉はその変化にふわりと笑って答える。

「雲雀さん、紅茶、飲みましょう?」
「そうだね。
 僕はお湯入れてくるからこれ持ってっといて。」
「はい!」


紅茶の香りが応接室を包み
徐々にまったりした雰囲気になってくる。
窓からはぽかぽかとした日差しが投げ込まれ
黒く柔らかいソファーに身を沈めた綱吉は
瞼を閉じてその温もりを全身で感じていた。


帰りのチャイムがなって放課後になったら、応接室。
最早習慣、当たり前の日常。

何故行くかと言えば
雲雀さんという大好きな人と会って、紅茶飲んで、話して。
俺の前だけで見せてくれる素顔を見て、独り占めするため。


(今日の紅茶はなんだろう?)


end



ゆる〜く進んでいった話ですねこれ。
ほのぼのというか、ゆるい(笑)
                                 2008.2.23 純白華


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