▼大嫌いな奴(2竜)
ここはいつもの秘密基地
いつもはシュウにくっついて学校へ行くシロンだが
今日はどうしても見たかったTVがあったため
学校へは行かずに秘密基地に来ていた
そのTVも見終えそのままTVの前のテーブルの上で
風に当たりながら昼寝をするねずっちょなシロン

しかし今日の夢はあまり良いものでは無かった

気持ちよく飛んでいたらカラスに襲われ
慌てて逃げると下には猫がいた
とにかく必死で逃げるシロン
体に夢とは思えない程の激痛が走る
あまりの痛みに思わず目覚めるシロン

「・・・・夢か・・・」
ガガガ語でそうつぶやきながら
早鐘のように打つ心臓を落ち着かせながら
体から出る冷や汗を拭う

しばらくして秘密基地の自分の特等席の丸窓から
ランシーンの入ってくる気配を感じた

余り仲の良くない2匹のため普段は気配は感じても
視線をそちらへ移そうとはしない2匹
しかし今日は違っていた

風に乗ってやってくる気配に明らかに違う匂いが混じる
鉄の匂い・・・・つまり血の匂いだ

思わずわるっちょなランシーンに視線を移す
そこには体中傷だらけのランシーンがいた

「・・・おい・・・・」ちょっと驚いてランシーンに話しかけるシロン

「大丈夫ですよ・・・これくらい」力なく話すランシーン
しかし視線をシロンに移すほどの力はないらしい

そしてシロンは気づく
先ほどの夢
あれは夢ではなく自分の半身の・・・・

彼らはドラゴン、風のサーガであるシュウの
リボーンによって本来の大きな翼竜になる2匹
翼竜になってしまえは無敵を誇るとはいえ
小さなねずっちょ・わるっちょな姿は猫にすら劣る非力な小動物となる
酷い怪我もシュウがいればリボーンと同時に完全完治する訳だが
シュウはまだ学校、今は授業中だ

シュウが帰ってくるまであと2時間

机の上で背中を丸めて痛みに耐えるランシーン

それを見ていたシロンはちいさく舌打ちをすると
パタパタと小さな翼を動かしてテーブルから離れていく

離れていくシロンの気配を感じつつ
・・・あと2時間・・・・と心の中で思いながら目を閉じるランシーン



しばらくすると傷口に何かが当たる気配
そしてその瞬間にちょっとピリっと痛みが走る
「・・・・?」
重い瞼を上げて見て見ると
シロンがピンセットに綿花を挟み消毒液をつけている

黙々と消毒しているシロン
そして消毒が終わると
シュウがいつもここに無くしたメンバーの為にと置いてある
予備のLCのネッカチーフを引っ張り出してきて
「包帯が見つかんねーんだ、ま、1枚くらいいいだろう」
そう言いながらシロンはランシーンをぐるぐる巻きにする


驚いたような目をして見つめるランシーン


「言っとくけどなぁ、俺はお前が嫌いなんだ、
後から来た癖にちゃっかり俺と同じ位置に座りやがって」

「・・・だけどな、お前がいねーとあいつが悲しむし、
それにやっぱ喧嘩友達がいねーといねーで寂しいからな」

手当てが終わり視線を離してぼそっと言うシロン


「・・・・私もお前が好きではない・・・・だが助かった、すまないな」

お互い視線は合わせようとはしなかったが
なんだかんだといいながらも本当に仲は悪くない2匹

シュウが帰ってくるまで2時間

風は先ほどと同じ穏やかな風に戻り2匹の間を吹き抜けていく


おしまい

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

はい、あとがきです
シロン&ランシーンのお話
ちょっと痛そうですごめんなさい
カップリングではありません
うちの2匹はシュウラブラブですので(笑)