▼悲しみの螺旋・輝く未来 その1
※このお話は多分ほぼオリジナルな昔のサーガとウインドラゴンのお話です
シュウと2竜は最後にぴょろっと出てきます
予想以上に暗いお話になりました(汗)
結構こじつけや矛盾が多々ありますがとりあえずスルーでお願いします(汗)
なお前のウインドラゴンは瞳は金色
見た目はランシーンで色がシロンと全部混ざってます(汗)
ランシーンの白いバージョンだと思ってくれると助かります
すいません(滝汗)






それは遠い昔の風の記憶


全てが終わった崩れ行く文明
消えていく都市
風がその瓦礫を巻き上げ砂へと返していく世界

文明に幕を引いた世界

レジェンズ達は次の戦いまで暫しの眠りにつく
光に包まれゆっくりとソウルドールへと戻っていく
永遠に続く悲しみの螺旋


それを黙って見つめる1体のウインドラゴンと1人の少年
白い翼に金色の髪、それをひとつにまとめ赤いピアスをつけたドラゴン
この文明に自ら号令を掛け全てを無に帰すことに使命を帯びたドラゴン
その顔はあくまでも冷たく一切の迷いも無かった

そして、その傍らに居る少年
赤毛に飛行帽を被った風のサーガと言われる少年
その少年もまた螺旋に縛られた存在

少年の魂はずっとこの螺旋の中
このウインドラゴンと共にサーガとしてあり続けていた

何度も生まれ変わり出会い、共に戦い
そして文明を滅ぼして来た少年

少年にも名前はあった
だが生まれ変わるたびに変わる名前を呼ぶことをウインドラゴンはしない
「風のサーガ」それだけで十分だった

ウインドラゴンもまた名前はない
かつてはあったのかも知れない
しかし捨てたのだろう
彼は唯一無二の存在
1体しか存在していないのだ
名前など必要ない「ウインドラゴン」で十分だった

1人と1竜の関係は冷たく寂しいもの
それはこの長い螺旋の中で当たり前のように繰り返されていた


レジェンズ達がぞれぞれ眠りについていく
4大レジェンズと言われる者たちも眠りにつこうとしている

ウインドラゴンは全てのレジェンズの眠りを見届けてから最後に眠りにつく
それが自分の最後の役目

ソウルドールになるレジェンズ達を見つめながら
ウインドラゴンは言う
「サーガ、もうすぐ皆が眠りにつく・・・」
「暫しの別れだな、また来世で会うとしよう」

「・・・・・・・」少年に返事はない

しかしウインドラゴンは特に気にするでもなく
その後は続けなかった

しばらくして少年がぽつりと呟く
「・・・・多分、僕は来世で君に会うことはない」

ウインドラゴンの瞳がピクリと動き
少年を見つめる
「どういう意味だ?」

「僕のサーガとしての役目は今回で終わるって事だよ」
「終わるって言うか終わらせるって言った方がいいのかな・・・」
そう淡々と話す少年

「・・・・・・・・・」
ウインドラゴンは何も言わない
表情ひとつ変わらない
サーガであるのなら別に誰でも良いと言った感じにも取れる

そのドラゴンの態度に少しだけ表情を曇らせて少年は言う
「・・・君は本当に僕のこと気にも留めていないんだね」


しばらくして
視線を再び前に向け語るウインドラゴン
「螺旋の運命は変えられない」
「お前が私のサーガであることは変えられぬ運命なのだ」



それを聞いて少年は目を閉じ

「運命は変えられる、変えることは出来るんだよ」
「そして来世では僕も君も違う人間とウインドラゴンになるんだ」

その瞼の裏には遥か未来の世界が見える
これは多分長い間未来を見ることの出来るウインドラゴンと共に過ごし
少なからずも同調してきた証なのかもしれない

「その世界で君は違うサーガの少年と笑っていた」

それは自分には決して向けられることのない笑顔

「この螺旋の運命を崩して君を救える最初で最後の機会なのかもしれない」



「救う?この私を?」
フンッと鼻で笑いながら
「別に救って貰おうなどとは思ってはいない、このままで十分だ」

そしてウインドラゴンもその金色の瞳を未来に向ける
「・・・未来もなにも変わりはしない、破壊と戦いの運命しか見えぬ」

目を閉じたまま少年は語る
「そう、確かに戦いの未来も存在している、とても強く・・・」
「でもそれに重なるように薄く見えるもう一つの未来」
「君には、それが見えない?」


「見えないな」
冷たく言い放つ

その言葉を聞いて
閉じた目をゆっくりと開く少年

「やはり・・・僕ではこの未来を変えることは出来ないんだね」
「変えられるのは・・・・・」

それは・・・・多分


全てのレジェンズがソウルドールに戻り
今ウインドラゴンも光に包まれ始めた

「ねえ、ウインドラゴン」
「君に渡したいものがあるんだ」
「長い間共に戦ってきたんだからそれくらいは貰ってくれてもいいよね?」

「なんだ?」

「君に2つ名前を贈ろうと思う」

「2つ・・・?」
少し疑問の色を顔に浮かべるウインドラゴン

「そう、2つ、君は次に目覚める時2つに分かれて存在するんだ」
「未来がそう教えてくれた」

「・・・・・・・」
無言で聞くウインドラゴン

「ひとつめは『ランシーン』」
「これは僕のひとつ前の前世の名前、君にそのピアスをあげた僕だよ」

「そしてもうひとつは『シロン』、今の僕の名前」

そう言うと少年は被っていた飛行帽を脱ぐ
そしてウインドラゴンに差し出す

「貰って・・・くれるよね?」
その瞳には切ないくらいの願いが込められている
受け取ってほしい・・・・と

ウインドラゴンは黙ってそれを受け取る

少年は精一杯の笑顔を見せる
「ありがとう、さよなら・・・・・」
その笑顔はとても哀しいもの




ウインドラゴンはそのまま何も言わずに消えていった

(2へ続きます)