甘い風(カネシュウ)
「何故・・・このような場所に私がいるのだ?」青い空が広がる秘密基地の屋上で
3対6枚の白い翼を持つ
カネルドウインドラゴンが呟く
「何故って言われてもなぁ・・・」
「俺がでかっちょとワル夫に頼んだからだよ」
シュウがあっさりとその答えをかえす
「何故そんなことを頼む!」
不機嫌な態度をとるカネルド
「今日さ、すっごい美味い飴買ってきてな」
「でかっちょとワル夫とみんなで食べてたんだけど」
「お前にも食べて貰いたくなってね〜」
ニヒヒッと笑うシュウ
「あ・・・飴・・・」
「そんな事で・・・」
がっくりと肩を落とすカネルド
「私は飴など食べる気はー・・・」
言いかけてると
ポイッと口の中に飴を放り込まれる
「−−−!!」
「あ、それピーチ味な、でかっちょの大好物v」
カネルドの意見などまったく聞かずに親指を立ててそう言うシュウ
「でかっちょの好きな飴は、ピーチ・オレンジ・メロン」
「マスカットにグレープ、ストロベリーもだな」
「あとチョコとコーラも好きだったか」
「ワル夫はね、ウメに抹茶にコーヒーとカリン」
「レモンとハッカも好きだなぁ」
「あいつら好み全然違うからこういうときは揉めなくていいよなw」
うんうんと頷きながら一人納得しているシュウ
「それで、お前はどんな味が好みなんだ?」
顔を上げカネルドの金の瞳を見つめながら聞いてくる
「・・・別に好みなど・・・ない」
飴など食べたことないのだから・・・
「お前はでかっちょやワル夫なんだし」
「意外に全部好きだったりしてな^^」
「私はあやつらではない、好みなどー・・・」
「ほい!またピーチvv」
再び口の中に放り込まれるピーチ飴
「!!!」
普段ならばこんな不覚を取るカネルドではない
しかも2回も(笑)
これは、彼自身も気がつかないうちに
シュウと言う少年
『風のサーガ』に気を許しているという証になっていた
「・・・・・・・・」
しばらく口を動かして何も言わないカネルド
シュウを見ないで空を見つめている
「美味いだろ?」
さり気に聞いてくるシュウ
カネルドは何も言わない
「もう1個食べるか?」
その言葉に軽く横に首を振るだけのカネルド
「そっか・・・」
しばらく静かにしていると
ヒュウっと風が吹いた
「・・・・・あれ?」
シュウが驚いたような顔をする
そしてカネルドをじっと見つめ
次の瞬間
「ぶわっはっはっは^^」
シュウがお腹を抱えて笑い出す
「な・・・何だ?」
いきなり笑い出すシュウに驚きの色を見せ
シュウを見るカネルド
「あ・・・ああ、ゴメンゴメン;;くっくっく」
お腹を押さえつつ笑いをこらえてシュウは続ける
「お前から吹いてくる風・・」
「すげぇピーチの甘い香りがするんだよ」
「しかもその風が・・・」
「『美味い』って言ってるから(笑)」
にこにこ笑うシュウ
「あ・・・」
一瞬にして顔を赤くするカネルド
その態度がさらに笑いを誘う訳だが
一応こらえてシュウは聞いてみる
「もう1個食べる?」
「い・・・いらぬ!」
フンっとシュウから視線を外し再び空を見るカネルド
カネルドを取り巻く風は
まだ甘く優しく秘密基地の屋上に吹いていた
おしまい
・・・・・・・・・・・・・・・
あとがき
シロンさんラン様に続き
ついにカネさんまでヘタレ化してしまいました(笑)
スイマセン;;
飴ちゃんネタでしたw
ここはキャンディじゃなく
あえて飴にいたしますw
希望としてはあわだまみたいなでっかい飴ちゃん希望w